アマゾンや、アップル、アルファベット(グーグル)、マイクロソフト、フェイスブックなど、巨大化したデジタル企業が、莫大な富とデータを独占していることを批判する人が増えている。(写真:AP/アフロ)

オーバーストア状態でピンチの米リアル小売業

 先だって、英Financial Times紙に興味深い記事が出ていた。一部のヘッジファンドが米国の小売セクター株の暴落に賭けている、というところから始まる記事だ。eコマースの大幅な進展が主因で、2017年初めから既に10社の従来型小売企業が倒産。元々、ショッピングモールが多すぎ、小売店舗がオーバーストア状態にあることもあって、百貨店など小売セクターは、さらに危機に瀕する。もし、このような事態になれば、eコマースとリアル小売との雇用吸収力の差で、米国経済全体にも大きなダメージが生じる、という内容だった。

 この記事の中で、いくつかの重要な数値が示されていたので、こちらもご紹介しておこう。

■ S&P500の小売インデックスは、今年年初から10%程度上がっている。しかし、上昇分のかなりの割合は、1社で同インデックスの時価総額の3分の1を占めるアマゾン株の上昇によるもの。

■ ゴールドマンサックスの試算では、eコマース企業は、100万ドルの売り上げを上げるのに、従業員0.9人しか必要としない。一方、従来型の小売業では3.5人が必要。当然、オンラインショッピングへのシフトは、数多くの人が職を失うことを意味する。

■ そもそも米国はオーバーストア。PwCの試算によれば、米国では人口一人あたり約24平方フィートの小売り売り場面積がある。これは欧州諸国における2~5平方フィートとは比べ物にならないし、米国に次いで一人当たり売り場面積が大きいオーストラリアの11平方フィートをも大きく上回る。

■ 商業用不動産市場に対する不動産関連ローンの残高は、約4兆ドル(したがって、小売セクターが大きく崩れると、金融市場へのインパクトにもつながる)。