幸いなことに、既存産業への実装には、超一流の研究者ではなく、AI/データサイエンスを普通に運用し、産業側の実務者と協業しながら実装していくミドルクラスの人材がいればよい。明治のお雇い外国人で言えば、東大で科学技術や政治学を講じる人ではなく、富岡製糸場で欧州の機械と技術の導入を手伝った人たちに近いかもしれない。

 彼ら、彼女らを「お雇い外国人」として、これから10年の産業構造改革とそのスピードアップに活用しよう、というのが意図である。

トランプ登場が浮き彫りにした日本の長所

 たまたま、であるが、日本にとって幸運なことに、トランプ大統領誕生後のアメリカ・ファースト政策の連発、移民に対する冷淡な政策の発動、そして一部にはそれを喜ぶ米国民の存在、などがあって、自由世界で民主主義的、かつ一定以上の安全と生活の質が担保できる日本の魅力度は相対的に上がってきている。

 同様の立場にあり、かつAIでは名の知られた大学があるカナダには、数多くのアジア人技術者が目を向けている。特に、(現在シリコンバレーにいる人たちも含めて)インド系のミドルクラス技術者は、これからどこを活躍の場所とすべきか、真剣に考え始めている人たちが多数存在している。VISA優遇、助っ人としての報酬優遇、生活支援等を組み合わせることで、彼ら、彼女らを「現代版お雇い外国人」として積極的に招致する絶好のタイミングだと思う。

 もちろん、その中から、日本文化とのフィットや日本語能力の程度から、永住を選択する人たちが出てきてくれることはなんの問題もない。

 明治のお雇い外国人の中でも、母国との関係で日本に新天地を求めた人は、かなりいる。例えば、モースは進化論者であったため、米国で所属していた宗教色の強い大学で教授になれなかったという。現在の米国、あるいは中国やインドにも、同様の状況で外の機会をつかもうという人たちはいるはずだ。

 この辺り、日本として、したたかに行動するタイミングではないかと思うが、どうだろうか。

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