豪エアーズロックに最も近い場所につくられた最高級リゾート「Longitude(ロンギチュード)131」。撤退や建て替えが比較的容易な、テント形式の建築を選択することで、自然への負荷を最小化している。(写真:HEMIS/アフロ)

 前回(2017年5月29日配信「新陳代謝:新しい経済構造作りの要諦」参照)、企業だけでなく、建築物も含めた新陳代謝が、経済の活力を取り戻す上で重要だという話を書いた。これと併せて「縮小しやすい」、(役割を終えたら)「壊しやすい」といったある種の柔軟性をもった建物、あるいは、社会システムがこれからは本当に重要だな、と思っている。

 以前、大江匡さんという建築家の30年を振り返るという企画で、日経アーキテクチュアの『NA建築家シリーズ:プランテック』という本の中で、同氏と対談をさせていただいたことがある。この際に、人口減少時代を睨み、効率よく縮める・壊せる建築が重要になる、ということを申し上げたのだが、いよいよその時代に入ってきたようだ。

治療を要する疾病の構成比も変わる

 たとえば、病院や介護施設。

 ご承知のように、団塊の世代の方々が70代に入り、いよいよ医療需要が爆発的に増える時代が近付いている。日本人全体としての人口が減り始めてはいるものの、その影響を上回る高齢者医療の需要増が起こるわけだ。

 需要増に加えて、高齢者が医療需要に占める割合も高まるので、治療を要する疾病の構成比も変わり、当然診療科ごとに必要な供給キャパシティも変わってくる。(地域差はあるが、癌の治療を行う医療サービスの供給を相対的に高める必要があるし、開腹手術だけでなく高齢者の体力に応じて放射線治療や内視鏡手術の比率も高くなる可能性が高い。)