元々数年前に1億8千万円くらいで売りに出されたらしいが、今では3億出しても買えないのだとか。東京都心3区と変わらない値段だ。詳細は教えてもらえなかったが、どうやら一泊平均50万円程度の宿泊価格で、年間を通してかなりの高稼働らしい。単純計算しても、年に1億数千万円の収入が入るわけで、当然こういった資産価格になるわけである。

 元々は、日本人デベロッパーが開発した日本人向けのスキーリゾート。これが、比較的短期間の間に、大きく変貌できたのは何故か。これまでも、前述のロスフィンドレーさんたちの努力、さらには外国人・外国企業も巻き込んで地域開発を計画・実行してきた自治体の動き、など、さまざまな要素が挙げられてきた。

新陳代謝をしやすい環境が極めて重要だった

 どれも重要だったことは間違いないのだが、今回現地を訪ねてわかったのは、これらに加えて、新陳代謝をしやすい環境が極めて重要だった、ということだ。

 一番わかり易いのは、新しいホテルやショッピング用の建物が建ちやすい環境。

 もともと、メインストリート周辺も巨大ホテルが立ち並んでいたわけではなく、数多くの個人経営のペンションが営まれていた。このオーナーの方々が高齢化し、事業承継か廃業かということを考えるタイミングと、ニセコの国際リゾート化が同時に起こった。土地の利用価値の高まりによって、古くなったペンションが数千万円で売れる、ということになり、新規参入者からするとスムーズに購入が進むことになったらしい。

 1987年のリゾート法制定以降、日本国内の多くの観光地で、団体旅行向けの巨大なハコモノが建った。いまでは、それを撤去することが高コストなため、景観改善やプレーヤーの新陳代謝の妨げになっているのと、好対照である。

役割を終えた企業がスムーズに退出できることが大切

 身も蓋もない言い方になってしまうが、役割を終えた企業やその資産がスムーズに退出できないと、新しい需要が生まれ、リスクテイクしようという新規参入者が出てきても、なかなか地域全体としては、変わっていかず、観光地としての魅力アップにものすごく時間がかかってしまう。古くからある温泉地のいくつかが代表例だが、この課題は相当大きいと言わざるを得ない。

 幸いなことに、観光立国を目指すという政策が実を結んだ部分も多く、日本人の国内旅行需要減という大きな課題はあるものの、インバウンド旅行者はかなり増えてきた。この流れを活かし、特に高価格帯のサービスを消費してくれる中の上以上のリピーターを確保していくには、観光地のハード・ソフト両面での新陳代謝促進策が不可欠だと、あらためて確信した次第だ。