一方で、デジタル化による第4次産業革命も始まりつつある。AIにしてもビッグデータにしても、あるいは量子コンピュータやニューロコンピューティングにしても、技術の変化はある程度なら先が読めるが、本当のところ、それを用いたビジネスイノベーションの姿を読み切ることはできない。

 決定論の世界ではなく、必死で競争するビジネスイノベーター次第で、将来の姿は大きく異なるからだ。こういう状況の中では、柔らかい組織の融通無碍さと変化力、継続的なイノベーション力が大きな価値を生む。ここでは柔らかい組織が望ましいわけだ。

 工業化、高度資本主義化の最終局面と、デジタル革命、第4次産業革命の序盤。この両方の位置づけを持つ時代に生きる経営者は、どうしても硬さの強さ、柔らかさの強さ、両方を欲しくなるし、それも当然だと思う。

硬さ、柔らかさを支える組織文化は明らかに異なる

 ただし、単純に両方を追求するというのでは、結局、「二兎を追うもの」ということになってしまう。特に組織文化という目に見えない魔物にどう対応するかについて、強い意識と明示された方針がなければ、木に竹を接ぐ愚を犯すことになる。

 前述のように硬さ、柔らかさを支える組織文化は明らかに異なる。これを無視して、上意下達の徹底力で勝ってきた会社の中に、クリエイティブな組織を作ろうという試みをして、失敗に終わった例は数多い。

 鳴り物入りで、ユニークな人材を外部調達したものの、結局周囲から浮いてしまう。あるいは、コーポレートベンチャーキャピタルを作ったものの、硬い組織向きの人材を配置してしまったり、投資意思決定をがんじがらめにし過ぎてしまい、ほとんど結果を出せない。

 両方とも、異なる組織文化(そしてそれに即した人材と行動規範)に十分な注意を向けず、何も手を打たないままにしたことが大きな原因だ。

会社を硬い部分と柔らかい部分に分けると…

 ということで、会社を硬い部分と柔らかい部分に分ける。具体的には、「イノベーションを追う事業部門」と「既存事業を磨き込み、キャッシュを生む部門」を分けることもなされるのだが、往々にして、これも社内で異文化コンフリクトが起こり易い。大抵は、今キャッシュを生む部門が優位に立ち、将来の期待の星と言われながらもイノベーション投資でキャッシュを食う部門への資金やヒトの配分は折衷的なものになってしまう。