柔らかい組織は、イノベーションと変化力で勝つ

 一方、柔らかい組織。こちらは、イノベーションと縦横無尽な変化力で勝つ企業だ。新しいアイデア、商品・サービス、そしてビジネスモデル。こういったイノベーションが起こり易い状況を、組織内に作りあげることが、競争力の源泉となる。

 企業と外部との壁自体を突き崩そうという力が働き、自由かつオープンに組織のメンバーが外とつながる。社内外で異質のもの同士が触れ合う場を意図的に作り続け、建設的な無駄や試行錯誤を許容する。

 柔らかい組織を持つ会社では、一見ピラミッド型の組織構造に見えても、実際には組織の壁や縦のラインに関わらず、プロジェクト型で仕事が進むことが多い。縦横斜め、上下左右、さまざまな方向に情報が流れ、規律よりも創造性が優先される。

アルファベット(グーグル)は柔らかい組織

 外部環境の変化への対応は、上意下達だけではなく、組織内のさまざまな部分で自発的に行われる。自分が何をすべきかも、状況に応じて、どんどん変わっていく。あたかもアメーバのように、伸びていく方向、進んでいく方向が自然と変わっていくような組織だ。

 当然、大きな技術変化が起こり易いタイミング、あるいは市場が大きく変化し、従来にないビジネスチャンスがあちこちで生まれてくる産業。こういった環境下で、柔らかな組織は強みを発揮する。

 どちらかと言えば、トップ企業ではなくチャレンジャー側により多く見られるが、すでに大企業であり、トップ企業のひとつでもあるアルファベット(グーグル)なども、こういう性質を有した組織だろう。

硬軟両方の特質が欲しくなる

 さて、この硬い組織と柔らかい組織。それぞれに異なる組織文化があり、異なったタイプの人材ミックスで支えられている。したがって、硬軟両方の特徴を持つ組織を作り上げ、うまく回していくことは容易ではないのだが、現在の企業を取り巻く環境下では、両方の特質が欲しくなる。

 工業化・高度資本主義化、そしてそれと時を同じくして起こった人口増加(人口ボーナス)による成長が鈍化し、中にはこれらをベースとした成長が終わりつつある国もある先進国。新興国の中でも、次第にこのモデルでの成長が鈍化してきつつある国が増えてきた。こういった状況では、硬い組織が強みを発揮する場合が多い。徹底力を活かして、競争相手からシェアを奪取するというゲームに持ち込めるからだ。