2000万人近くいる15歳から35歳までの国民のうち、職についているのは620万人に過ぎない。黒人若年層の失業率は40%で、白人若年層の約4倍。「政府のエリート」や「白人」に加えて、近隣諸国から流入している出稼ぎ労働者や難民も「あいつら」とみなされる。

 移民・難民問題と中間層の没落から、欧州でポピュリスト政党が勢力を伸ばしていることを我々は知っている(フランスでのマクロン大統領誕生は、その流れを止める大きなイベントとして取り扱われているが、その実、左派・右派どちらも既存の政治家がまったく評価されなくなったということでもある)。ブレグジットやトランプ大統領の誕生も、たまたまではなく、政治不信の中で、“US vs THEM“の潮流が強まった結果があることも、知っている。

世界中で噴出する工業化社会の矛盾

 しかし、欧米先進国だけでなく、世界人口の過半数を占める中進国、開発途上国の中の人口大国で、これから出てくる可能性の高い“US vs THEM“。これに目をこらしていかないと、グローバルにビジネスを行っていく上で、大きく足をすくわれかねない。

 私自身の整理で言えば、工業化社会を作ることで人類全体が豊かになってきた時代。これがいよいよ最終局面に入り、さまざまな矛盾が生じているのだと思う。特に、工業化社会の中で、最適化されてきた社会・経済の諸制度がうまく回らなくなり、かつそれを上手に運営できなかった国々では、社会全体の矛盾が噴出している状態なのだろう。

 そこへやってきたデジタル化の流れ。これが、まだポジティブなメリットを各国民に与えていない段階で、雇用への不安が高まるようなAI/ロボット化が喧伝され、さらにSNS(交流サイト)を通じて、不満を持つ層同士がつながり、聞きたい話だけを選択的に聞く、ということにもなっている。

 本書だけで、「ではどうするのか」ということに答えを出すことは到底できないが、イアンの警告をスタートポイントとして、解決策を考え、実行していくプロセスを始めざるを得ないと考えている。まずは、読後に感じ、考えたことを、お伝えさせていただいたが、今後もこの話題には触れていきたいと思うので、どうかよろしくお願い申し上げます。