一部については、複数の美術館・博物館をコンセッションのような形で、民間に委託し、その上で、ある程度改廃も考えることが必要かもしれない。こういった施策の背中を押しつつ、一部の施設の収蔵品を、やる気と高い能力を有する施設に移していく、といったことを考え、前出のようなファンド等を活用する、かなりしたたかな政策が求められていると思うのだ。

日本の各地には合計1000を超える数の美術館がある。写真は奈良美智の作品「あおもり犬」で有名な青森県立美術館。 (写真:PIXTA)

どのようにして富裕層に「日本文化を買う気」にさせるか

 第二に、買い手を増やす複数の手立てを、同時多発的に打つことだ。

 まずは、高価格帯の文化消費をする国内外の富裕層を、どうストックとしての「日本文化を買う気」にさせるか。

 以前、ニセコについて触れたことがあったが(2017年5月29日配信「新陳代謝:新しい経済構造作りの要諦」参照)、同地で高額のコンドミニアムが海外富裕層に人気になった背景には、

 ・現地に根付いたオーストラリアをはじめとする外国人観光事業者や海外デベロッパーの存在

 ・欧米富裕層の間でのニセコについての口コミや、彼らが見るメディアでのニセコの記事・番組

 がある。

 みずからのビジネスチャンスとして、あるいはみずからの消費対象として、グローバルなリゾート地を複数比較できる人たちが、グローバル視点でのニセコの価値をマーケティングしている、と言い換えてもよいだろう。

 美術や工芸品、あるいはそれ以外の文化ストックについて、これまでも観光同様に「海外の目」ということが言われてきているが、本当に大事なのは、「高価格のもの」を海外のストックとも比較できる存在であり、彼ら彼女らがみずからマーケティングしてくれることだ。