1月26日、約580億円分もの仮想通貨NEM(ネム)が不正に流出した問題で、仮想通貨取引所コインチェックのオフィスが入るビル(東京都渋谷区)の前に集まった報道陣や投資家たち

デジタルエコノミーに対する猛烈な逆風の予兆

 仮想通貨の取引所がハッキングされ盗難にあったことが、メディアをにぎわしている。これはこれで重大な話だし、(やや不謹慎であることをお許しいただきたいが)ブロックチェーンの特徴を活かして、盗まれたNEMという仮想通貨が使われたり他の通貨に交換されたりしないようにして、犯人を追跡しようとする動きを、興味深く注視している。

 ただ、個人的には、このニュース、これから2~3年、早ければ1年以内に吹き荒れるであろうデジタルエコノミーに対する猛烈な逆風のさきがけではないか、と感じている。もう一歩踏み込むと、この逆風とそれに伴う淘汰を乗り越えて、はじめて第4次産業革命と称されるデジタル革命が、ポジティブな形で本格化する時代に入る。そんな予感がしているのだ。

 ここ5年ほどの間は、デジタルの世界が圧倒的な経済価値を示してきた時期だと思う。

 世界の時価総額トップ5が米国のデジタル企業に独占され、その次のランクにも中国のテンセントとアリババグループが入った。(2017年12月末時点のトップ5は、アップル、アルファベット[グーグル]、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブック)。また、AIの進化、ブロックチェーン技術の登場とフィンテックへの期待などが相まって、ベンチャーキャピタルの投資額は増え続けてきた。

 一方、仮想通貨の世界では、さまざまな問題を乗り越えて、ビットコインの時価総額は1800億米ドル(約20兆円)にも達している。ビットコイン以外の仮想通貨も増え続けており、その時価総額の合計は50兆円を超えるのではないかと推定されている。

 極端な言い方をすれば、デジタル関連に資本が集まり、その資本の評価額が上昇することで、デジタル分野でのM&Aやベンチャー投資がさらに盛んになる、という循環が続き、「デジタル革命による価値創造」という信仰が拡がった時代ということになる。