トランプ政権の先行き、識者も「読めない」

 私事ながら、自分の誕生日がたまたま米国時間ではトランプ大統領の就任式と重なった。直接的には何の関係もないのだけれど、今年はなんだかわさわさと落ち着かない誕生日になった気がする。

 海外の友人たちとも、トランプ後の米国、そしてその影響について意見を交換する機会が続いている。

 たまたま、長い友人かつ同僚である米ボストン・コンサルティング・グループのCEOが、「Strategic and Policy Forum(戦略政策フォーラム)」という16人のビジネスリーダーからなる、大統領にビジネス視点での意見具申をするグループの一員に選ばれた。彼とも短時間だけ議論したが、やはり「読めない」というのが実態のようで、「できるだけ、政策にビジネス界の意見を反映させるべく頑張る」というのが現時点での正直な感覚のようだ。

米側と対話できる、ビジネスリーダーのグループを作る

 ちなみに、このグループのカウンターパートとなり、日本のビジネスの立場から彼らと対話できるビジネスリーダ―のグループを作ることは急務だと思う。外交チャネル、政治チャネルだけでなく、すべてをビジネス的なディール発想、損得勘定で考えるところのある新政権と付き合う上では、彼らに影響力を有するビジネスリーダ―を通じた情報提供が重要になってくる。

 このためには、一刻も早く、ビジネス・トゥー・ビジネスのチャネル構築が必要であり、そのための日本側の器作りが不可欠だ。残念ながら、既存の財界団体が受け皿になるという類のものではなく、発言力・説得力そして構想力のあるビジネスリーダ―が、米側と同数集まり、活動を開始する、ということしかなさそうに感じている。

「今年の10大リスク」、最大は「トランプ政権」

 さて、一方で、国際政治の専門家である畏友、イアン・ブレマー氏が率いる地政学的リスク関連のコンサルティング会社ユーラシア・グループは、毎年初めに発表している「今年の10大リスク」を、トランプ大統領の米国大統領就任以前に公表している。2017年の世界の地政学的・政治的リスクについて、ユーラシア・グループが重要かつ蓋然性が一定以上あると考える順に並べたものだが、この中でもトランプ政権に関わるものが、いくつも出てくる。

ユーラシア・グループが年初に発表した
2017年の世界10大リスク

① わが道を行くアメリカ(Independent America)
② 中国の過剰反応(China overreacts)
③ 弱体化するメルケル(A weaker Merkel)
④ 改革の欠如(No Reform)
⑤ テクノロジーと中東(Technology and the Middle East)
⑥ 中央銀行の政治化(Central banks get political)
⑦ ホワイトハウス対シリコンバレー(The White House vs Silicon Valley)
⑧ トルコ(Turkey)
⑨ 北朝鮮(North Korea)
⑩ 南アフリカ(South Africa)

(出典:ユーラシア・グループ「2017世界10大リスク」)

 いの一番に挙げられたのが、「Independent America(わが道を行くアメリカ)」。世界の課題解決にコミットせず、内向きで独自の道を行く米国ということだ。この結果、真の意味での超大国が不在の世界となり、多国間貿易から温暖化対策まで、多国間のルールや枠組みが機能低下していくことになる。もちろん、米国の同盟国をはじめ、さまざまな国がその影響を受けざるを得ない。