テンプレートになるような「戦略には何を要素として含めるべきか」くらいは決められているものの、具体的な策定手法は担当者によってまちまち。出て来るアウトプットも、場合によっては、戦略としての要件をほとんど満たしていない、ただの願望の羅列だったりすることさえある。

(戦略というのは、ある目標に向かって進んでいく道筋、であり、ゴールそのものではない。また、自社が優位に競争を進めるために何をするか、が明確になっていなくてはならない。)

多くの企業は「前工程」を効果的に進める手法を持っていない

 ちなみに、15~20年ほど前は、戦略コンサルタントの仕事は、このあたりを一定の手法とデータに基づいて、より成功確率の高いものにする、といった類いのプロジェクトが多かった。社内だけでは戦略策定の手法が不足している、発想の種が自社と自分の業界常識に依存しすぎている、データに基づかず論理性も弱い。こういった弱点を補い、戦略について「良い提案」をするという役割だ。

(その後は、実行プロセスの担保や組織能力の補完、といった後工程の品質アップと組み合わさり、何かを提案するだけでなく、結果にコミットする仕事にシフトしてきた。この背景には、戦略プロセスに用いるべき手法を身につけ、実行することができる人材を備えた企業が増えてきたということがある。)

戦略コンサルタントの仕事は、単に何かを提案するだけでなく、結果にコミットする仕事にシフトしてきた(写真:everythingpossible/123RF)
戦略コンサルタントの仕事は、単に何かを提案するだけでなく、結果にコミットする仕事にシフトしてきた(写真:everythingpossible/123RF)

 さて、本題の前工程、すなわち、顧客ベネフィットや商品・サービスの大枠を決める部分。どうだろう、このプロセスを効果的に進める仕組みや手法を有している企業は、全体の1割もないのではなかろうか。

 まずは、時間をどれだけかけ、いつからいつまでに何をアウトプットとして出すか。この当たり前のことが、はっきり決まっていない企業が大部分だ。

 たとえば、ある製造業企業では、中期計画等で領域ごとの商品開発の方向性は決定されているものの、具体的なコンセプト作りをいつ始め、いつまでにその一次案を提示するかが曖昧だった。3年後に発売しようと考えている商品開発が、相当難易度が高いにも関わらず、実際には上市1年半前になってから真剣に検討され始め、結果的にどんどん後倒しになる、などということが日常茶飯事だった。

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