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人の話やべた記事に注意を払おう(写真:PIXTA)

 量子コンピューティングが実用化され暗号解読が猛スピードでできるようになると、暗号ベースの技術であるブロックチェーンは、一挙に危機にひんする可能性がある。

 私自身は、「暗号通貨自体には、様々な問題が存在するが、分散型の信頼システムを構築する上で、ブロックチェーン技術には大きな価値がある」と考えている。ところが、(タイプにもよるのだが)量子コンピューティングの実用化が見えてきた段階で、この技術が一旦危機にひんする、ないしは、対抗技術の構築のために普及がスローダウンする、ということが予想される。

 こう考えると、ブロックチェーン技術の実装という将来の世界観を左右する根本原因の一つとして、量子コンピューティングの進化を(専門家の意見を聴きながら)継続モニターしていくことが重要となる。

人の話や「べた記事」から兆しを嗅ぎ取る

 3. 自らの時代感を言語化して、モデル化する

 読める潮流を見出し、その中で重要なものをつかみ取っていく上では、何らかの判断軸が必要だ。

 私の場合で言えば、超マクロに時代を捉えて、現在は「工業化による経済成長モデルの最終盤」と「デジタル化による新たな価値創造モデルの萌芽期」が併存する時代だという自分なりのモデルが(現段階では)基礎になっている。これに従って、我々にとって何が重要な変化か、それをもたらす(大体読める)潮流は何か、を総合化して考えることを繰り返すようにしている。

 独占禁止法にしても、グローバル企業への課税のあり方にしても、我々の社会システムを構成する規範やルールは、工業化時代のものであり、デジタル化時代には即していない(ちなみに、政治システムや教育のあり方も同様である)。

 このため、当面の間、新たな価値をつくり始めたデジタルプレーヤーと工業化時代に最適化したその他の社会システムとの間で、摩擦が起こり続ける。こう考えれば、Tech titanへの逆風が吹き始めるのは、当然だということになる。

 そして、様々な人の話や、海外を含むメディアの「べた記事」の中から、その「兆し」が現れたら、その具現化が近いと判断することが多い。

 ドラッカーに『すでに起こった未来:変化を読む眼』という名著があるが、雪の下から草木の芽が出てくるように、目を凝らすと様々な「兆し」がある。未来は読めなくとも、何かが既に兆しとして表れていることに気づけば、一定の蓋然性で人とは違った未来像を描くことができる。

 逆に言えば、自分なりのモデルさえあれば、面白いことに「兆し」が色々見えてくるとも言える。