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未来は「読めない」(写真:PIXTA)

1. 未来は読めない、と肝に銘じる

 逆説的な物言いだが、預言者ならぬ普通の人間にとっては、未来は読めない。まず、こう自分に言い聞かせることにしている。

 我々の生きている社会は、複雑系だ。個々の人や企業・組織のアクションに対し、その他の数多くの人や企業・組織が反応し、その結果、予期しなかったような結果が生まれてくる。前回の産業革命の際、蒸気機関が発明された段階で、標準化・規格化されたT型フォードが社会と経済を劇的に変えるとは、誰にも想像できなかっただろう。

 さらに言えば、地震のような自然災害やパンデミックの流行などは、いつ起こるか確実に予測することは不可能だ。バブルの崩壊も、同様にタイミングが読めない。

 先ほどのTech titanの話も、タイミングも含めて読みきれたわけではない。近々こういうシナリオが現実化する蓋然性が高い(が、いつそれが決定的になるか、は人智の及ばぬところ)と考えた、ということだ。

 そもそも、時代が大きく変わるときには、強い「思い」を持つ人たちが、未来をつくっていくものであって、未来の方が決定論的にやってくるわけではない。本質的には、未来はつくるものだ、というのが私自身の信念でもある。

2. 一方、「大体」読める潮流は存在する。その中で、他の変化の根本原因になるものをつかみ取る

 科学技術の進歩で、いつ頃どのようなことが可能になるかは、ある程度予測できる。量子コンピューティングの実用化で、ある種の問題が、信じがたい速さで解けるようになる時期は、幅はあるものの専門家なら予想可能だ。マクロな人口動態も、大きな戦争やパンデミックが発生しない限り、一定以上の確率で推定できる。こういった潮流の中で、他の変化につながる原因となる重要なものを選択し、ウオッチし続けることが重要だと思う。