一人あたりGDPが増えると、社会は「人口減少」「高齢化」へ

 面白いことに、さらに一人あたりGDPが増えていくと、カップル当たりの子供の数、すなわち合計特殊出生率が2を割るようになっていき、高齢社会化、人口減少社会化が進む。移民による人口増政策を取っていない日本は、その先頭を走っているのだが、これが豊かになってきた新興国にも広がっていくと、世界中が今世紀中に、高齢社会化、人口減少社会化が進むことになる。

 よく知られているように、経済成長の要因を因数分解すると、人口(働き手の数)、資本(設備投資など)、TFP(全要素生産性)の3要素の増分が経済成長につながると考えられる。この3要素のうち、人口部分の増(人口ボーナス)に頼った経済成長を果たすことが、世界全体でできなくなってくる。こう考えてもよいだろう。

経済成長をあきらめれば、開発途上国が豊かになる機会を奪う

 遅かれ早かれ、TFP(全要素生産性)を第2のグラフにあるデジタル化でどう高めていくことができるか、が世界全体の経済成長のカギになる。

 もちろん、現在のGDPという指標自体が、第3次産業革命までのパラダイムに適したもので、個々人の人生の豊かさを含め、モノではなくデータの活用で価値が生まれる時代には、別の指標が必要になる。

 ただ、そうだとしても、世界にはGDPの増で、より人生を豊かにできる新興国、開発途上国がまだまだ存在するわけで、従来型の経済成長をあきらめてしまうと、彼らが豊かになる機会を奪うことになりかねない。

成熟先進国とデジタル時代に即した経済指標とは

 こういった視点で、成熟先進国とデジタル時代に即した経済指標、途上国と工業化に即した経済指標をどう併用し、使い分けていくか、ということも、これら3つのグラフから出てくる論点である。

 いささか話があちこちへ拡がってしまったが、ことほどさようにこれら3つのグラフは、本質的な論点を抽出し、考え続けていく上での大事なスタートポイントになり得る。

 今年も、皆さんとご一緒にいくつかのポイントを考えていければと思っていますので、どうかよろしくお願い申し上げます。