第4次産業革命の恩恵を中間層に

 デジタル革命の中で先進国が考えるべきなのは、「どうやって第4次産業革命の恩恵を、中間層が享受できるようにするか」ということであって、「第3次産業革命、すなわち付加価値の高い製造業を有する国が豊かになる、という前提で、中間層対策を考える」だけでは不十分だと考える。

 この2つのグラフを組み合わせて考えていくと、以下のような様々な論点が生まれてくる。

── 先進国中間層がサービス・財の受益者となる医療や介護等、生産性の低さと費用の急激な増大が問題となるヘルスケア領域。ここにデジタル化によってイノベーションを起こし、中間層の受け得るヘルスケアサービスの費用対効果を大きく伸ばし、結果的に彼らのQOL(生活の質)をまったく違う次元に高めることはできないか。

── 先進国中間層の子供たちが来るべき時代に恩恵を被る側に入れるように、公的教育におけるデジタル領域(たとえば、AIやデータアナリティクス)を無償で提供できる体制作りを行えないか。

── 既存中間層のうち、デジタル技術を身につける意欲がある人たちに、スキルシフトのための訓練を早く、しかも徹底的に行い、彼らのジョブシフトと国としての競争力向上につなげられないか。

 これらの論点は、単純に分配政策を変えよう、というのとは相当違った流れだと思う。

世界の人口は今世紀末、約110億人前後でピークに

■図表3 国連人口予測(2012年 revision)

Population of the world, 1950-2100, according to different projections and variants
出所: Population Division of the Department of Economic and Social Affairs of the United Nations Secretariat (2013); World population prospects: The 2012 revision. New York: United Nations

 さて、最後の3つめは、以前にも紹介したことのある長期のグローバルな人口変動だ(■図表3)。

 これは、2012年の国連推計だが、要は(甘く見ても)今世紀末には地球上の人口は、約110億人前後でピークを打ち、その後は減少していくということだ。今世紀中のより早い時期に、100億前後でピークに達するという見方もある。

 20世紀は人口爆発の世紀でもあった。これは、1つ目のグラフにあるグローバル工業化が進展する中で、一定以上の一人あたりGDPを超えた先進国と新興国で、衛生・栄養状況が改善し、乳幼児死亡率が劇的に低下したことがその大きな要因だ。

 (もちろん、化学肥料が工業的に膨大な量生産可能となり、人口増を支える食料生産増が行われたこともグローバル工業化の一部に含まれる。)