「グローバル化」「デジタル化」「人口変動」の影響とは

 遅ればせながら、どうか本年もご愛読のほど、よろしくお願い申し上げます。

 さて、年の初めなので、これからの時代を短・中・長期と複数の時間軸でとらえていくために重要な視点とは何か、という少し大きなテーマで書いてみたい。もちろん、さまざまな切り口があるのだけれど、私が選んだのは、以下の3枚のグラフ(■図表1■図表2■図表3)が提供してくれる視点である。

 結論から申し上げると、3枚それぞれが、グローバル化、デジタル化、人口変動という極めて本質的な潮流3つについて、その屈曲点を示しているのだ。

グローバル化により先進国で中産階級の所得が伸び悩んだ

■図表1 エレファントカーブ
注:1988年~2008年において、実質所得がどれだけ伸びたか(縦軸)を所得分布階層(横軸)によって整理

出所: 世界銀行リサーチペーパー 2012.12

 まず、1枚目はエレファントカーブ(■図表1、先進国で特に中産階級の所得が伸び悩んだことを示したことで知られる曲線)。ご存じの向きも多いだろうが、世界銀行のエコノミストの手になる分析で、グローバル化の進展で誰が豊かになったのか、を示したものだ。世界中の人を豊かな順に並べ、1988年から2008年までの20年間に、どの層の実質所得が伸びたかをグラフ化している。

 荒っぽくまとめてしまえば、世界の中での超高収入層、すなわち先進国の富裕層、そして新興国の(新)中間層が所得を伸ばした、というのが結論だ。一方、日本を含む先進国の中間層の収入は伸びておらず、一部の層は20年の間に実質収入が減っている。

一方、新興国では経済発展により中間層が所得を伸ばした

 この期間は、世界的にはグローバル化が進み、世界の貿易量が増えるとともに、新興国の工業化が大きく進展した時期にあたる。先進国の消費者は、新興国で生産される商品を比較的安く手に入れるという恩恵を得た。一方で、製造業を中心に先進国の中間層の雇用が新興国に移転し、彼らの所得が伸び悩むこととなった。

 (なお、この分析は、リーマンショック以前のデータを基にしたものであり、また世界各国の異なる調査データをもとにした推計である。さらには、1988年と2008年の2ポイントで、まったく同じサンプルの人々を調査したものではないこと、など留意すべき点はあるが、こういったあたりを含めて、さまざまなエキスパートが再検証した結果、おおむね妥当な分析だと考えられている。)

「エレファントカーブ」と呼ばれるグラフは、世界の富裕層が所得を伸ばす一方で、先進国の中間層だけが伸び悩んでいることを示している。まさにこの現象が、「反グローバリズム」を掲げ米国民の支持を集めた、トランプ現象を生んだと言える。(写真:ロイター/アフロ)