全6213文字

縁の下の力持ちとなってくださいませ。ぜひ!

 最後に、「全員活躍」元年を目指すうえで知っておいてほしいキーワードと、やってほしいことを記すので、心の片隅に置いてくださいませ。

キーワード1【アンコンシャス・バイアス】
 過去の経験や習慣、環境から生じる、自分自身が気づかずに持つ偏った見方や考え方のこと。ジェンダー・バイアスと極めて近い概念である。

 例えば「育休明けの女性は負担のない部署に異動させるべき」と考える上司は多いが、実際には家庭環境や健康面での個人差が大きく、一概にそうした方がいいとは言い切れない。また、「女性は転勤したがらない」といわれるが、年齢やその人のおかれた環境で反応は大きく異なる。ある企業では、非正規社員の正社員化に伴い、40代後半の女性におそるおそる転勤の辞令を出した。すると「今後のキャリアを考える上でも、ぜひ行かせてほしい」と快諾されたという。

 アンコンシャス・バイアスがはびこっている会社かどうかをチェックする方法は2つ。
・男女の平均継続勤務年数に違いはないか?
・採用時の男女比と、管理職の男女比の大きな違いはないか?

 「ガラスの天井」という言葉は、「階層組織の最上階に存在する女性差別」のメタファーとして広く使われるが、「天井」は階層組織のすべての階層で、蜘蛛の巣のごとく張り巡らされていることが、米ノースウェスタン大学心理学部教授のA・H・イーグリー博士らの調査研究でわかっている。

キーワード2【フォルトライン】
 一つかそれ以上の属性に基づいてグループを複数のサブグループへと分割しうる、仮想的な分割線(Lau & Murnighanによる)と定義される概念。組織運営を考えるうえで、覚えておいてほしい言葉だ。

 例えば、女性6人のメンバーのグループの中で、3人は「既婚、子持ち、40代」、残りの3人は「独身、30代」の場合、共通項を持つ3人のグループで固まり、対立するリスクが高まる。これに対し、既婚、未婚、子持ち、子なし、介護あり、20代、30代、40代といったさまざまな属性を有するメンバー、さらには男性メンバーがいると境界線(フォルトライン)がなくなり、各々が意見を言いやすくなる。結果として、コミュニケーションがスムーズになることもわかっている。

 フォルトラインの有無は、以下の2点でチェックする。
・結婚して子供がいる女性を、安易に「ロールモデル」と考えていないか?
・女性活用を進めるグループのメンバーが、女性ばかりになっていないか?

 では、最後にやってほしいことを3つ。

やってほしいこと1【平等な教育機会】
 厚生労働省の「平成26年度雇用均等基本調査」では、女性の活躍推進のための取り組みとして「女性の継続就業に関する支援」を挙げる企業が62.5%と圧倒的に多かった。 一方、「人材育成の機会を男女同等に与えること」は わずか23.1%。女性が働き続けられる職場づくりだけにパワーを集中させるのではなく、女性を育成してその能力を発揮する機会を与えることにコストをかけてください。

やってほしいこと2【横のつながりの仕組み作り】
 男性の多い職場で、孤独感を抱いている女性は意外に多い。キャリアや結婚、育児への悩みもある。女性はSNSを利用した情報交換を得意とするという研究結果が散見されるので、社内の女性たちが部署を越えてつながれる仕組みを作ってください。

やってほしいこと3【上司が殻を破る勇気】
 ある女性は悩んだ末、「育児と仕事の両立は難しい」と上司に退職する旨を伝えた。上司の返答は、「辞める以外に選択肢はないの? 他の会社でできて、うちの会社でできないのはおかしくない? どんな方法だったら両立できるのか考えてみて」。そこで女性は、在宅勤務などをうまく活用している企業を調べ、「これだったら両立できる案」を提出。上司が上に根回しし、即採用!となった。 

 その後、課長に昇進した女性は、「あのときの上司の一言がなければ今の私はいません」と語っていた。

 部下は上司で変わります。本気で「使えるものは使わなきゃやばい」と思う上司のみなさま、今年は部下の背中を押し、縁の下の力持ちとなってくださいませ。ぜひ!

 ―SOCの高い職場の作り方満載!―

 本書は、科学的エビデンスのある研究結果を元に、
「セクハラがなくならないわけ」
「残業が減らないわけ」
「無責任な上司が出世するわけ」
 といった誰もが感じている意味不明の“ヤバい真実”を解き明かした一冊です。

(内容)
・ショートスリーパーは脳の故障だった!
・一般的に言われている「女性の特徴」にエビデンスはない!
・職場より家庭の方がストレスを感じる!
・人生を邪魔しない職場とは?