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「女性にやさしい=育児にやさしい」というペラペラな発想

 独身のバリキャリ、独身の非バリキャリ、ダブルインカムのバリキャリ、ダブルインカムの非バリキャリ、ワーママのバリキャリ、ワーママの非バリキャリ、結婚願望ありあり女性、結婚願望なしまたは不明女性、親の介護女性、親の介護&子育て女性……といった具合に、女性にはさまざまな属性があり、多様であるがゆえにさまざまな葛藤を抱えているのである。

 もちろん男性も然りだ。ただ、女性の場合、出産という女性しか経験できないビッグイベントがあるし、親のケアや介護は結果的に女性が関わる率が高く、ワークとライフが分かち難く複雑に絡み合っている。

 にも関わらず、これまで多くの企業が進めてきたのは、「女性活用=育児と両立できる“やさしい職場”」の一本足打法 。やさしい職場づくりを否定するつもりはないが、そのマイナス面は想像以上に大きい。

 いったい何人の独身女性たちから
「女性にやさしい職場? ワーママにやさしくするために私は酷使されてます」
「女性にやさしい職場? 独身はバリキャリじゃないとダメなんですか?」
「女性にやさしい職場? 私も“女性”にカウントされてみたいです」
と、不平不満を聞かされてきただろうか。

 いったい何人の未婚や子供のいない女性管理職たちが、
「会社は女性管理職のロールモデルを作りたがってるけど、結婚していて子供がいるのが前提条件だから、私はダメらしいです」
と乾いた笑いを浮かべ、自分を卑下しているのを見てきただろうか。

 「女性にやさしい=育児にやさしい」という表面的でペラペラな発想が、女性の分断を生み、「結婚もできない、バリキャリでもない自分」に悩む女性を量産させ、「バリキャリと思われ、残業とか押しつけられたくない」とキャリア意識を低下させる女性を登場させてしまったのだ。

 結局のところ、女性活躍だのダイバーシティだの数値目標だのと、流行りの言葉や数字を使うだけではなく、「そこで働くすべての人が生き生きと元気で働ける職場」をゴールにすることが肝心なのだが、残念ながらそこはトップの経営判断や哲学に委ねるしかない。

 2019年を、女性活躍を出発点に、「全員活躍」の元年にしていただきたいと、願うばかりだ。