長時間労働した人ほど、出世が早い

 以上のことからわかるとおり、人手不足を解消する以外、長時間労働はなくならない。

 では、人手不足がなぜ生じているのか?不必要な会議など無駄な業務の存在、生産性の向上ではなく業務量の増大で売り上げをカバーしようとする経営方針……。

 長時間労働の原因や、そのデメリット、恐ろしさに対する「考え方、意識、理解」。絶対に解消するという「心」を経営者が持てるか、どうか。これですべてが決まる。

 ところが、実はここでも気になる数字が明らかになっている。

 なんと長時間労働した人ほど、出世が早い。限りなく黒に近いグレーが「はい、黒でしたよ~」という結果が先の調査で示された。

 課長代理クラス以上の昇進のスピードと「残業」との関連を調べてみたところ、

・同時期入社等と比較して昇進が「早い」人は、「普通」ないし「遅い」人より1週間の実際の労働時間がやや長い。
・「1ケ月の所定外労働時間」が 45 時間を超えた人で分析すると、昇進が「早い」人は 51.4% と、「普通」(42.2%)あるいは「遅い」(39.2%)人を上回る

といったことが明らかになったのである。

 オーマイゴッド!これでは「何?長時間労働?そんなの当たり前でしょ。さすがに月100時間超えたときは、心臓がバクバクしてビビったけど、人手不足なんだから仕方ないよ」なんてことを、彼らがトップになったときに言いかねない。

 まさしく三流の心。人の「心」に大きな影響を及ぼす「経験」がこれでは、悲観的にならざるをえない。

 恐い。マジで恐い。実に恐ろしいことだ。

 働き方改革は一億総活躍社会実現に向けた「最大のチャレンジ」だと言うのなら、「取り組んだら助成金」だなんて生ぬるい飴で釣るのではなく、「違反したら罰金」と厳しいルールを設けなきゃダメ。

 長時間労働をさせられないように、インターバル規制と有休取得率向上を罰則付きで徹底して、「働けない」状況を作るしかない。

 そして、違反した企業は徹底的に公表すべし。そのときはメディアも是非とも「働く人」側に立って報じて欲しい。

 だって、長時間労働は「健康」とセットで考えなきゃならない問題なのだよ。過労死や過労自殺という“東京の夜景”の被害者を二度と出さないためにも。

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