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働き方改革で「下請けいじめ」悪化の恐れ

 では、本題。

 今年最も読まれたコラム(国会紛糾で分かった日本企業の生産性が低いワケ)は「裁量労働制の拡大」に関するものである。本文中で「高度プロフェッショナル制度の陰でスポットを浴びてこなかった問題アリアリ法案が、安倍首相の答弁により注目を浴びることになったのは実に喜ばしい事件である」とつづったが、生産性向上至上主義に物申すこのコラムが一番読まれたことが、個人的にはとても嬉しかった。

 結局、裁量労働制の拡大は関連法案から削除される形で先送りになったが、今後も政府はあの手この手で攻めてくるに違いない。

 一方で、裁量労働制ではない社員の「長時間労働」への関心は、昨年に比べ薄れた印象がある。

 実際、大手企業を中心に数年前から取り組んできた残業削減の効果が出てきたとのデータもある。ただし、中小企業や零細企業、下請けや孫請けは別。むしろ大企業のしわ寄せにあえいでいるケースも少なくない。

 階層の固定化――。それがさらに進んだ一年だったと、個人的には解釈している。

 今月初め「ブラック企業マップ」なるものがSNSで話題となった。その多くはHPもないような小さな企業だったり、非正規雇用がメインだったり、中には、外国人技能実習生を最低賃金以下で働かせている例もあった。

 今後は中小企業にも残業時間の上限規制が適用されるし(2020年)、発注元の大企業が一次下請けの中小企業の長時間労働の是正に動いているケースも増えているので、弱い立場の2次、3次下請けの零細企業にますます負荷がかかり、「階層の固定化」が進行するのではないかと懸念している。