「自分はここにいるべき人間ではないんじゃないか」
 「自分は弱い人間じゃないのか」
 「周りに迷惑をかけているんじゃないのか」

 これまでメンタル不調で休職したのち、復職した人たちを何人もインタビューしたけど、みな自分を責め、自尊心を低下させ、「もとに戻れるか」と不安を抱えながら復職し……、残念ながら完全復活した人はいなかった。

 念のため断っておくが、彼らは「うつ」傾向で、いわゆる「うつ病」ではない。
 気分の落ち込みは改善され、医師からも「もう大丈夫」との判断を受けての復帰である。

 先の女性が「本人がもっと『できる』と望んだ」と言っていたけど、その言葉は嘘でもなければ、無理強いされたわけでもない。ホントにそう言えるほど、元気になったのだと思う。

 でも、私たちが「うあぁ~~~!ムリ」となってしまうように、新たなストレスの雨が降る。

 「僕の場合は……逃げたくなった。『やっぱりアイツはダメだ』って周りから烙印押されるのが恐くて。自分で防護線をひいた。自分を過剰に守り過ぎていたんです」

 復職に失敗し、辞職。半年後に転職した男性は、こう自己分析していた。

 会社は本気で復職させる気がないんじゃないか――?
 件の女性リーダーのいうとおり、私も大いに疑問だ。

 厚生労働省の平成28年(2016年)「労働安全衛生調査(実態調査)」によれば、メンタルヘルス対策に取り組んでいる企業は、全体の56.6%で、前年の59.7%を下回った(「結果の概要」→「事業所調査」→pdfファイルの「第6表」を参照)。

 というか、平成25年以降、平行線。ちっとも増えてない。厚労省が目標とした80%にはほど遠いことがわかる。

【出典】厚生労働省「労働安全衛生調査 平成25年(実態調査)」(こちら、PDFファイルです)

 また、過去3年間でメンタルヘルス不全者の割合は増えたか」との問いには、21.9%が「増えている」とし、18.3%が「ほぼ横ばい」と回答。

 復職後に「負担の少ない職場に配置転換をする」としたのは47.4%だが、「ほとんどしない」36.8%、「しない」15.8%で、「前の部署に戻らなくてはならない」人たちが案外多いのだ。

 さらに、連続して1か月以上利用できる病気休職制度(年次有給休暇以外)があるのは、91.9%。
 復職にあたり「試し出勤制度を行なっている」が30%、「試し出勤を認めることがある」が46.8%で、「原則として認めてない」が23.2%だった。
(上記ソース:「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」労働政策研究・研修機構)

 で、ここからが問題である。