試験「ふりがな」問題で感じたこと

 奇しくもこの11月、介護現場での外国人就業の拡大につながる改正入管難民法が参院で可決、成立した。来年には、入管難民法の在留資格に「介護」が追加され、外国人技能実習制度に基づく介護分野での実習生受け入れが可能になる。

 コレって、本当に大丈夫なのだろうか?

 外国人技能実習制度は世界の人身売買の実態をまとめた米国の報告書や、国連の人権に関する報告書、さらには国際労働機関(ILO)の報告書でも、
「外国人がパスポートを取り上げられたり高額な保証金を徴収されたりするなど、強制労働に悪用されるケースが後を絶たない」
「人身売買される奴隷の状態になっている」
「人権の保護の構造的な問題は改善されていない」
などと批判されている。

 日本の介護職員不足解消の特効薬になると関係者は胸を張るけど、母国を離れて遠い日本にやってくる“外国人労働者”の人権を、日本はきちんと守ることができるのだろうか。

 前置きが長くなった。今回は「外国人労働者の人権」について、アレコレ考えてみる。

 まずはこちらの表をご覧ください。これは経済連携協定(EPA)に基づく、外国人看護師候補者の看護師国家試験の合否結果である。第1回の合格者数は、なんとゼロ。82名ものインドネシア人の看護師たちが挑戦して、誰1人受からなかったのである。その翌年もわずか3人で、2012年に、合格率はやっと1割を超え11.3%(合格者47名)となった。

(出所:厚生労働省)

 EPAに基づく外国人の看護師・介護福祉士候補者の受け入れが始まったのは2008年。これは外国人の就労が認められていない分野において、二国間の協定に基づき公的な枠組みで特例的に行うもので、日本での受け入れ施設で就労しながら国家試験の合格を目指した研修に従事する。協定で認められる滞在の間(原則として看護3年間、介護4年間)に国家資格を取得できれば、看護師・介護福祉士として滞在・就労が可能だ(在留期間の更新回数に制限無し)。まずはインドネシアからスタートし、その後、フィリピン・ベトナムを含めた3カ国に広がった。

 ただ、先に紹介した表でもわかるように、受け入れはなかなか進まず、合格率の低さはメディアでも大きく取り上げられた。小宮山厚労大臣(当時)が2012年、翌年の国家試験からは候補者向けの特例措置として、試験におけるすべての漢字に振り仮名をつけ、試験時間も延長する方針を示したほどだった(その後、ともに実施)。

 看護師の仕事は人の命に関わる仕事だし、日本人でも看護師の国家資格が必要なので、外国の候補者においても国家資格が必須であることはわかる。が、母国語が日本語ではない人たちが受ける国家試験に、漢字に振り仮名も付けていなかったとは、どういうことなのだろう?

 外国人を日本社会で受け入れるのであれば、振り仮名は当たり前だし、試験時間延長なんてもんも当たり前の話ではないか。

 そもそも、日本には、外国人看護師を受け入れようという気持ちはさらさらない。申し訳ないけど、私にはそうとしか思えなかった。