社長を“見る”機会が増えるだけで、「雲の上の存在で直接話してはいけない存在」という社員が抱きがちなイメージは打破できるし、接する時間が長くなればなるほど相手が身近になり、互いを理解する力も育まれる。

 それを国賓待遇で迎えたのでは、接する時間を極小化するようなものだろう。貴重な機会に距離を広げてどうするんだ。

 よく「経営者は孤独」と言うが、むしろ、孤独ではなく、“孤立”していることが問題で。
 やっぱり「孤立してちゃ、経営はできない」のだと思う。

「経営幹部は通常の報告を監督する以上の仕事をしなければならない」

 シドニー・フィンケルシュタインの名著『Why smart executives fail and what you can learn from their mistakes(邦題:『名経者が、なぜ失敗するのか?』)」は、6年間という歳月をかけて「失敗した企業」40社を調査し、当事者たちへのインタビューも実施し、経営者が陥りやすい失敗のメカニズムや避ける方法を書いた一冊である。

 「これはビジネスに関する書籍だが、調査を終えたときにはっきりしたのは、これが“人間”についての考察であるということだった」(by フィンケルシュタイン)

 500ページ近いこの大著に、上下の“つながり”に言及した部分がある。

 「組織が厳格すぎたり、階層構造的になると、当事者たちは緊急情報に上手く対処できない。NASAのスペースシャトルの失敗はその典型的ケースだ。NASAでは直属の上司・部下の関係を超えて、情報が行き交うことは絶対になかった。すべての管理職は、直属の部下から上がってくる情報だけに頼っていた。

 経営幹部は通常の報告を監督する以上の仕事をしなければならない。自ら探し求めなければ手に入らない情報を、手に入れなければならない」――(“失われたコミュニケーション・チャネル”の章より抜粋)。

 自ら探す情報……ね。
 そういえば元気な会社の社長さんたちには、もうひとつ共通していることがあった。

 彼らの名刺に「メルアド」と「携帯電話の番号」が、ちゃんと記されていたのである。

 ほら、日本を代表する企業のトップの名刺って、連絡先が代表になっているケースが多いじゃないですか。あれだとインタビューや取材のお礼も、つい後手になりがちで。

 私から情報が入るわけじゃないけど、こんな小さなところにも、失敗の予兆は潜んでいるのかもしれない。

『他人をバカにしたがる男たち』
なんとおかげさまで五刷出来!あれよあれよの3万部! ジワジワ話題の「ジジイの壁」

他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)

《今週のイチ推し(アサヒ芸能)》江上剛氏

 本書は日本の希望となる「ジジイ」になるにはどうすればよいか、を多くの事例を交えながら指南してくれる。組織の「ジジイ」化に悩む人は本書を読めば、目からうろこが落ちること請け合いだ。

 特に〈女をバカにする男たち〉の章は本書の白眉ではないか。「組織内で女性が活躍できないのは、男性がエンビー型嫉妬に囚われているから」と説く。これは男対女に限ったことではない。社内いじめ、ヘイトスピーチ、格差社会や貧困問題なども、多くの人がエンビー型嫉妬のワナに落ちてるからではないかと考え込んでしまった。

 気軽に読めるが、学術書並みに深い内容を秘めている。

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