東レにいたっては、元社長で現相談役の榊原定征氏は経団連会長としての記者会見で、
 「極めて残念。日本の製造業に影響を及ぼしかねない深刻な事態だ。(問題は)発覚した時点で可及的速やかに報告しないといけない」
 と不正発覚問題に言及。
 その翌日、東レが榊原氏の社長・会長在任中に、タイヤ補強材などの製品データを一部改ざんしていたことが判明した。

 しかも、東レの日覚昭広社長は、子会社の不正を把握してから発表までに1年4カ月も過ぎていることについて、
 「今月初めにインターネット上に改ざんに関する書き込みが出るまで、問題を公表するつもりがなかった」
 と明かしている。

 また、日産の西川廣人社長は、
 「不正の原因は、工場の課長と係長の間のコミュニケーションにギャップがあった」
 と記者会見で述べたが、社内から「現場に責任を押し付けるのか!」と大ブーイングが起こり、会見の翌日、
 「自分たちにも責任があった」
 と釈明した(こちら)。

 これが日本を代表するメーカーの“トップ”かと思うと情けなくなってしまうのだが、とにもかくにも“風通しが悪い”。企業という一つの共同体で、上と下がつながっていない、というかトップが「つなぐ努力をしていない」のだな、きっと。

役員エレベーターがあってもなくても

 私はこれまでたくさんの企業を取材させていただいたり、多くの企業に講演に呼んでいただいたが、“問題”を抱える会社は例外なく上と下が断絶していた。

 で、大抵の場合、その断絶は“見える”。

  • 「役員専用のエレベーター」のある会社
  • 「ナマ社長」を社員が見たことない会社
  • 「役員専用フロア」がある会社

 具体的にはこんな具合だ。

 ちなみに先の会合に参加した4人の会社は、上記の条件をすべて満たしていた。ということは……。これ以上考えるのはやめておこう。

 「役員専用のエレベーターやフロアがあって何が悪いんだ!?」と思われるかもしれないけど、仮にあったとしても「社長に下とつながる本気」があれば、やがてそれは無駄なものと化す。

 私がこれまで取材した経営者のうち、生産性を上げ、世界で通じるワザを持っている企業のトップは、誰一人として社長室に座り込んではいなかった。

 あるトップは毎朝社内を1時間かけて歩きまわり、
 あるトップは社食で従業員たちと食事をし、
 あるトップは社長室にバーを作り、社員と夜通し飲んでいた。

 それぞれのやり方で、それぞれの考えで、社員と“人”としてつながる場や機会を意識的に作り、“walking management”を実践していたのだ。