緒方市議は今年が1期目で、1人会派「和の会くまもと」に所属。熊本市議会では前例のない任期中の出産(第2子)をした。4月以降は「出産後の体調不良」を理由に議会を欠席し、本会議出席は約8カ月ぶりだった。
妊娠が判明した昨年から、「議会開会中に子供を預ける場所がない」として、乳児を連れての本会議出席や市議会への託児所設置、保育園やベビーシッター助成の整備などを議会事務局に相談。
しかしながら、「自分でどうにかして欲しい。議員を特別扱いできない」と言われるばかりで、前向きな回答はなかった。
そこで「(子育ては)社会問題になっているのに職場では個人的な問題にされてしまう」との思いから強行を決意。「子育て世代の代表として、子どもと一緒に議会に参加して発言できる仕組みを整えるよう主張したかった」と記者団に話している。
一方、熊本議会では市議会の規則で「本会議中は議員以外が議場に立ち入ることはできない」とされているため、今回の“事件”を事務局は「赤ちゃん連れでの着席はこの規則違反にあたる」と判断。
また、澤田昌作議長は記者団に対し、
「今回のことはいきなりだった。子育てが大変で思い詰めた部分もあったのだろう。子連れでも議会に参加できる仕組みを考えたい」
と述べ、近く開催する議会活性化委員会で議論する方針を示したとされている。
オーストラリアに於ける「歴史的授乳」
ところが、である。
「いきなりだった」と言っていた澤田議長が、夜の報道番組の取材に「前日に緒方議員から申し出があった」と明らかにし、「それについてはまた後日、ゆっくり話しましょうという話をした」と答えている。
まぁ、あったのに「ない」という前提で報道が先行したことに他意はないのかもしれないけど、「また後日ゆっくり」と言われてもね……。
いずれにせよ“事件”の一報が報じられるや否や、ネットでは賛否両論入り交じり、メディアも識者とされる人たちにインタビューしたり、街頭インタビューしたり、海外の事例などをいっせいに報じた。
ちなみに……
一番最初に議会に赤ちゃんを同席した議員は、1998年のカナダの国会議員ミッシェル・ドックリル氏(7か月の赤ちゃん)。
以下続々と、
- 2010年、イタリアのリチア・ロンズーリ議員(18か月の赤ちゃん)
- 2010年、オーストラリアのサラ・ハンソンーヤング議員(2歳)
- 2012年、カナダのサナ・ハッサイニア議員(3か月の赤ちゃん)
- 2016年、スペインのカロリーナ・べスカンサ議員(5か月の赤ちゃん)
などが赤ちゃん連れで出席し、退場を命じられたのはハンソンーヤング議員のみだ(すべて女性議員です)。
また、2015年にはアルゼンチンのビクトリア・ドンダ議員が、赤ちゃん連れで議会に出席し、自席で授乳。2017年には、オーストラリアのラリッサ・ウォーターズ議員が、生後2か月の娘に授乳し「歴史的授乳」と報じられた。
そのときの様子は→こちら。
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