今回は「常識と非常識」について考えてみる。

 もう散々あっちこっちで“正義”のぶつかり合いが展開しているので、取り上げるつもりはなかったのだが、これまたあっちこっちから「意見」を聞かれるので取り上げることにしました。

 と、しょっぱなから長い言い訳で申し訳ない。
 だが、私の答えは決まっているのだ。

 「いいじゃない。お母さん・お父さんからのケアが必要な赤ちゃんも、幼稚園で預かってもらうのが難しい障害を持つ子供も、家族からのケアが必要なおじいちゃんおばあちゃんも、み~んな“同席する”。そんなにぎやかで、開かれた議会があってもいいじゃない」――。これが私の見解である。

 もし議長が、

 「実は昨日、申し出があったんですけど『それについてはまた後日、ゆっくり話しましょう』って言ったんですよね。でももう今日、彼女は赤ちゃん連れてきちゃったんで、とりあえず今回は特例ということでこのまま議会を始めます。後日、本人の意見も聞き、みなさんと議論をしたいと思います」

 そう宣言してくれれば“チャンチャン”だった。

ヒーローになり損ねた議長

 というか、そうすれば熊本市の澤田昌作議長は、一躍“ヒーロー”になったに違いない。

 だって、働く女性が増え、共働きが当たり前になり、どう考えてもケア労働者は足りていないわけで(ケア労働についてはこちら 『男だ女はもう「114」。埋まらぬ日本の格差問題』)。新たな問題を解決するために前例を壊し、それでまた問題が起これば、そこで一つひとつ何をすべきか考えればいい。

 が、“常識”好きの人たちはそれを許さない。
 「何を言ってるんだ! だから河合薫はダメなんだよ!!」
 と、既に口を尖らせている人たちの顔が山ほど見える。

 この手の問題については“自説”こそが正義で、早急な解決が必要にも関わらず「他人がなんと言おうと考えを変えるつもりが毛頭ない」人たちで溢れているのだ。

 ええ、そうです。遅くなりました。
 取り上げるのは、平成のアグネス・チャンこと“熊本市の緒方夕佳議員(42歳)”が、市議会に生後7カ月の長男を連れて着席した“事件”です。

 緒方議員の“行動”に議会は紛糾。結局、出席は認められなかった。緒方議員は長男を友人に預け、議会は40分間遅れで開会した。

 この“事件”はかなりのメディアが一斉に報じたが、大切な部分が切り落とされ、極めてセンセーショナルに伝えられている。なので、赤ちゃん同席に至るまでの経緯も含め、確認できた範囲で紹介する。