かっこええ!! 大宅さん!!
上司ってすごい、というか、働くってすごい。
人に影響を与えたいと願ったところでできるものではないけど、自分の生き方、働き方そのものが「誰か」に影響を与えうる存在になる。
そのことを「上司」たちはわかっているのだろうか。
「部下が育たない」
「部下の当事者意識がない」
と嘆く前に、あなた自身が「上司」としての役割を果たしているだろうか。ちょっとだけ考えてみてほしい。
「上司」の影響力は、部下が会社という組織を離れても残る。他の仕事に携わっていても残る。「心の上司」として、人生の岐路に立たされたときの羅針盤になるのである。
大宅さんは冒頭の取材で、
「ギャレー(厨房設備)をピカピカに磨いて降りました。信心深いわけではないのですが、私たちだけが使う場所なので、きれいにしていれば機内のどこかにいるかもしれない、飛行機の神様が私たちを守ってくれるかもと思い、いつもきれいにしてから降りていました」
と語ったそうだが、私は先輩たちがいつもそうしていたのでそれを見習っていた。
いかなる仕事にも大切にすべき有形無形の「道具」があり、CAのそれは「飛行機」であり、先輩から後輩、またその後輩へと受け継がれ、大宅さんは最後の最後まで、大切に大切に後輩に引き継いでいったのだ。
単に「フライトする」といってもCAは想像以上の重労働だ。究極の感情労働だし、肉体的にも精神的にも負担は想像以上に大きい。かつて30歳だった定年が時代の変化とともに65歳まで延びたように、CAの働く環境も大きく変わり、CAはいつしか「こどものなりたい仕事」にランキングされなくなった。
それでも大宅さんが、ご自身があこがれてスチュワーデスになったときの気持ちと変わらず、最後の最後まで「いちCA」としてフライトされたのは、大宅さんご自身が絶えず自分を磨き続けたからにちがいない。
継続は力というけど、そこに意志力があるから「力」になるわけで。ひとつのことを成し遂げるためには、自分が常に進化しなきゃ無理。
ついつい変化を求め、他のことに手を出しがちで、それだけで自分も変わったような気がして安心するけど、大宅さんはあの頃と一緒。「大宅邦子」というプロのCAを演じ続け、私が教わったCAの基本を最後まで後輩に伝え続けていらしゃった。
「続けること」は尊いもの。45年間の大宅さんの人知れぬ努力を思うと頭が下がる。ただただ「すごい! ホントにすごい!」と。そして、私も大宅さんのような志を持ち続けたいと思う。
大宅さんは取材の最後に、
「もし定年が70歳や75歳に延長されていたらどうなさいますか?」
と記者に聞かれ、
「もちろん働きますよ!」
と笑顔で即答した。
かっこええ!! 大宅さん!! マジ、かっこよすぎる!!
そして、大宅さんに出会えたことに心より感謝いたします。本当にありがとうございました。
―SOCの高い職場の作り方満載!―
本書は、科学的エビデンスのある研究結果を元に、
「セクハラがなくならないわけ」
「残業が減らないわけ」
「無責任な上司が出世するわけ」
といった誰もが感じている意味不明の“ヤバい真実”を解き明かした一冊です。
(内容)
・ショートスリーパーは脳の故障だった!
・一般的に言われている「女性の特徴」にエビデンスはない!
・職場より家庭の方がストレスを感じる!
・人生を邪魔しない職場とは?
有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。
※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。
※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。
この記事はシリーズ「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?