「漠然とした不安に押しつぶされないで。どうにか上手く対処して乗り越えて欲しい」と心から願う一方で、「不安の反対は安心じゃないよ。前に半歩でもいいから進むことだよ。腐るな、踏ん張れ!」と活をいれたくなってしまうのである。

 ……私はこれまで何人かの「勇気ある決断」をした人たちの声を聞いてきた。

ある男性が孤独の日々から抜け出すきっかけ

 彼らは会社で肩たたきされ、自信を失い、精神的にも落ち込んだ経験のある人だった。そんな彼らの言葉は重く、切なく、それでいてとても勉強させられるものだった。

 その中で私がハッとさせられた、ある男性の言葉がある。

 会社を辞めるまで追い詰められたその男性は、辞めたあとは、世間の目が怖くて、外を歩くのも怖く、漫画喫茶で時間を潰したり、美術館にいったり、孤独感に苛まれた。
 そんな男性があることをきっかけに、前に踏み出した。

 河合:「孤独の日々をどうやって脱出したんですか?」
 男性:「すがったんです」
 河合:「すがった? というのは?」
 男性:「会社にいる頃から、何度か誘いを受けていたコーチング研修があった。あ、勘違いしないでくださいね。変な自己啓発とかじゃなく、一般的な研修です。その頃はオレにはオレのやり方があるって自信満々だったから相手にしてなかった。でも、会社を辞めて半年くらいたった頃に、偶然また電話がかかってきて。その時僕は『行きます』と即答したんです。自分でもわからないけど、どん底にいた自分は、誰かにすがりたかったんだと思います」

 男性は、他者にすがってでもなんでも、とにかく行動を起こせたことで、物事の見方が変わり孤独から解放された、と何度も繰り返した。

 「すがる」とは一見あまりよくない行為のように捉えがちだ。中には「カルトにでも走れというのか!」と勘違いする人もいるかもしれない。だが、彼の言葉を文脈で捉えればわかるように、それは「自分だけでできることには限界がある」ことを認め、他者に頼ること。考えて動くのではなく、すがってでもなんでも動けば、物事の見方変えることができる、と。
 依存の先にこそ自立は存在し、他人に弱さを見せることで、逆に強くなれることだってあると思う。

 もし、もしこれを読んでいる方の中で一人きりで悩んでいる方がいらっしゃったら、どうかすがってほしい。弱い自分をさらけ出してほしい。それが同じように苦悩する「中高年の勇気」にもつながると思います。

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この記事はシリーズ「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。

ウェビナー開催、「1時間で完全理解 『量子コンピューター』は何がすごいのか」

 岸田内閣の「新しい資本主義」の重点投資に組み込まれた量子コンピューター。既存のコンピューターよりも処理速度が速いといわれる量子コンピューターですが、その技術や、我々の社会や経済をどう変える可能性があるのかを理解している人はまだ少ないのではないでしょうか。

 日経ビジネスLIVEでは9月13日(火)19:00~20:00に「1時間で完全理解、 『量子コンピューター』は何がすごいのか」と題してウェビナーをライブ配信する予定です。登壇するのは、住友商事で新規事業創出を担うQXプロジェクト代表・寺部雅能氏と、業界動向に詳しい野村総合研究所IT基盤技術戦略室エキスパート研究員の藤吉栄二氏。量子コンピューターの技術的な特徴から、ビジネス活用の最前線まで分かりやすく解説します。

■開催日:2022年9月13日(火) 19:00~20:00(予定)
■テーマ:1時間で完全理解、「量子コンピューター」は何がすごい?
■講師:寺部雅能氏(住友商事QXプロジェクト代表)、藤吉栄二氏(野村総合研究所IT基盤技術戦略室エキスパート研究員)
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
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