日本で月曜の朝に自殺が顕著になったのは、1990年代後半以降。つまり、1974年の高度成長期からバブル崩壊までには、いわゆる「ブルーマンデー」が認められなかったのである。

 「ブルーマンデー」とは、文字通り月曜日に憂鬱になる現象で、欧米で使われるようになった言葉である。自殺に季節変化が存在することはかなり昔からわかっていたが、日本より早くストレス研究が蓄積されてきた欧米で、1970年前後から月曜の朝に、中高年男性の自殺者が増える傾向が報告されたのだ。

 その傾向は現在も続いていて、例えば英国では93年から02年の間に記録されたすべての自殺死亡のデータを分析し、月曜日のピークを確認。日本国内では、03年に全国で記録されたすべての自殺死亡のデータ分析で、月曜日の自殺率は、週末の1.55倍だったと報告している。

長期間のデータを詳細に分析

 ただ、これまで使われてきたデータは、いずれも今回の調査ほど長期にわたる大規模なデータではなかった。

 つまり、どんな研究にも「ウリ」が必要不可欠だが、今回のそれは「41年間の自殺者88万人のデータ」を用いたってこと。バブルが崩壊で日本経済がどん底になった1995年を境に、前期(74年~94年)と、後期(95年~14年)に分け、さらに曜日だけでなく、時間別に分析した点が今回の研究の特徴である。

 さらに、他の年齢、性別では、次の傾向が明かされている。

  • 中高年男性と同様の傾向は若い男性(20歳~39歳)にもみられる。しかしながら、中高年男性に比べると、月曜早朝に集中する頻度は、3割~5割ほどに低い。
  • 失業率が上がると、若者と中高年男性のみ自殺が増える
  • 女性や高齢男性は景気に関係なく、昼の12時前後に自殺する割合が高い

 研究チームでは上記の結果を踏まえ、「自殺予防を目的とした電話サービスなどは、夜の時間帯より、むしろ早朝から通勤時間帯にかけて相談体制を充実させる必要がある」と指摘。

 また、高齢者や主婦などは、昼間にひとりにならないよう、家族や地域社会のサポート体制を強化することが大切だと話している。

 中高年男性の自殺。いったい何度このテーマでコラムを書いてきただろう。
 景気が自殺に影響を与えることはわかっていたが、今回の新しい事実は私自身、相当ショックだった。

 自殺者の多くは、うつ病やうつ状態にあると考えられていて、うつ病の人は世界総数推計で3億2200万人に達し、10年間で18%以上増加。地域別ではアジア・太平洋地域で世界全体の約48%を占め、日本はうつ病に悩む人が多い国の一つだ(WHOの2015年時のデータに基づく)。

 男性は弱音を吐くのをいとう傾向が強いため、どんなにストレスの雨にびしょ濡れになっても、耐えることが多い。ホントはSOSを出したいのにムリして耐える。それを口にした途端、自分がとんでもなく弱虫な気がして、自分でストップをかける。「貸してください」というたったひと言が言えないのだ。

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