女性が多い企業はザワついている

 そもそも「組織の論理」とよく言うけど、これっていったいナニ?

 余計なことは言わない、上司には意見しない、ってことなのか?

 これまでいろんな企業に講演に呼んでいただいたが、会場に女性が多い企業には共通していることがある。

 ザワついている。悪い意味ではなく良い意味で、ザワザワしているのだ。

 自由にものを言う空気があり、笑いが多い。男性だけの会場では一目で誰が上司かわかるが、それがわからない。上司と部下の距離感が近く、無駄な緊張感が存在しないのだ。

 今から一年くらい前だろうか。テレビで放映されていたある地方議会に、そのザワつきをみた。

 画面には活発、かつ前向きな議論をする議員たちと、それを楽しそうに傍聴する人たちが映っていた。議会が行われていたのは、大阪府島本町。かつて、町長が教育委員に女性を起用した町でもある。

 島本町の議会は定員14人のうち、7人が女性。つまり、半数が女性を占める。

 その女性議員たちがとことんこだわったのが、慣例の見直しだ。
「この工事費に、どれくらいの負担をしたのか?」
「精算の結果こうなったのか?」

 女性議員がどんどん質問するから、男性も質問するようになり、見えなかったことが見える化され、根回し政治から本音を言い合う議会になった。ここでは女も男も関係ない。「人口の半分が女性なんだから、普通でしょ?」と男性議員たちも口を揃える。

 すべての女性(もちろん私も)に潜む“オバちゃん”魂が、慣例だの、慣習だのをぶった切り、男性たちも暗黙のルールを破り真摯に向き合った。

 その結果、議員に支給されていた弁当は廃止され、食糧費の9割が削減。政務活動費も、議員報酬で賄えるとして導入を見送っている。

 そうなのだ。女性活用なんていうから、ややこしくなくなる。オバちゃん活用。それでいい。メンツもない、ヘンな羞恥心もない、“オバちゃん”たちのしがらみのない発言こそが、組織を活性化する。

 人間は誰しも自分の意見を聞いて欲しいものだ。

 どんなに周りからおとなしく見える人でも、自分なりのオピニオンを持っている。少なくとも600人以上の人たちをインタビューしてきて、私は一度たりとも意見を持たない人に出会ったことがない。

 自分が意見を言い、それが議論の俎上に載せられたら、仕事が少しだけ楽しい。

 意思決定に参加していると認識している人は、「俺には関係ないから」などと自己を封じ込めることはない。自分たちの前に設定された課題を快く受け入れ、自分たちでその課題を解決することに責任を持つ。意思決定への参加は、その人の力を引き出すとても重要な経験なのだ。

 考えて欲しい。上司に意見を言い、新しいことを提案する若手が、「ジジイ」たちにどんな仕打ちを受けているかを。

「あいつは頭はキレるが、組織というものがわかっていない」
「根回しというものが、わかってない」
「今までもやってきたことなんだから、文句言わずにやればいいんだよ」
と、罵倒する。 

 そういったデキる人は辞める。“ジジイ”たちが後から刺され、うんざりして辞める。

 その結果、物言わぬ人が重用され、密室でモノごとが決まるようになり、組織のためより自分のためを優先する人が組織の権力を握っていき、組織が腐敗していくのだ。

 とまぁ、かなり先の先まで話をぶっ飛ばしたけど、女性、いやオバちゃんたちを活用すれば、能力ある男性たちが堂々と活躍できる組織が出来上がっていく。

 そのためには、1人や2人増やすんじゃダメ。

 最低でも3割以上、できれば島本町のように半数を、ナニがなんでも増やしたほうがいい。

 ちなみに、件の報告書には、男女格差を少なくした先進国は出生率が回復し、経済成長を維持しているとされている。オバちゃん効果は、世界共通なのだ。

 11月9日より有料メルマガ「デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』」(毎週水曜日配信) を創刊します。「自信はあるけど、外からはどう見られているのか?」「自分の価値をアップしたい」「心も体もコントロールしたい」「自己分析したい」「ニューストピックスに反応できるスキルが欲しい」「とにかくモテたい!」といった方の参考になればと考えています。初月無料ですので、是非、お試しください。

本コラムの著者、河合薫さんによる「難題やプレッシャーを成長の糧にする!困難に打ち勝つ、若手社員育成講座」を開催いたします。

対象は、入社3~10年目の若手・中堅社員(40代のミドル社員も受講できます)。“困難や難題に立ち向かう力”を身につけることを目的にしており、徹底的な内省により、「考え抜く力」と「やり遂げる力」を強化します。

■日時:11月29日(火)10:00~17:30(9:30受付開始)
■会場:エッサム神田ホール1号館 東京都千代田区神田鍛冶町3-2-2
■受講料:42,000円(税込)

講座の詳しい内容やお申込みはこちら から。

この記事はシリーズ「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。

ウェビナー開催 成田悠輔×安田洋祐 激論!「ビジネス+経済学」

 米グーグルなど最先端企業で経済学者の採用が相次いでいます。最新の経済学は様々なビジネス活動を遂行する根拠となり、確実性を高めることが実証されています。一方、日本に目を向けてみれば、仕事場でも「本当は防げる失敗」が繰り返されているのが実情です。

 日経ビジネスLIVEは日経BOOKプラスと共同で、7月19日(火)20:00~21:00に「気鋭の経済学者が激論『経済学はビジネスに役立つか?』」と題して、ウェビナーをライブ配信する予定です。登壇するのは米イェール大学助教授の成田悠輔氏と大阪大学大学院准教授の安田洋祐氏。本当に役立つ経済学を、ビジネスに取り入れるにはどうすればいいか。経済学の活用を通じて企業はどんなメリットを得られるのか。気鋭の経済学者による議論をお届けします。

■開催日:2022年7月19日(火)20:00~21:00(予定)
■テーマ:成田悠輔×安田洋祐 気鋭の経済学者が激論「経済学はビジネスに役立つか?」
■講師:米イェール大学助教授・成田悠輔氏、大阪大学大学院経済学研究科准教授・安田洋祐氏
■モデレーター:エコノミクスデザイン共同創業者・代表取締役・今井誠氏
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料(事前登録制、先着順)。

>>詳細・申し込みはリンク先の記事をご覧ください。