河合:キャリア教育という名のもと、学生に自己分析と他己分析とかやらせるんですけど、そもそも、それまでの人生が20年、しかもそのうち半分ぐらい記憶がないのに、分析したってほとんど意味ないです。まして、それを根拠に自分の能力に合った企業を選ぼうとか、好きな仕事を見つけようとか。だいたい世の中に、好きな仕事を新人にやらせてくれる企業なんてないのに。

宮内:学生もそのような話をちゃんと理解するでしょう?

河合:はい。学生は学生なりに、「石の上にも3年」というのをサークル活動やバイトにあてはめて考えるみたいです。ただ、最近の学生は限界を超えるまで無理し過ぎちゃう側面もあるので、「どうしても無理だと思ったら辞めなさい、逃げなさい」って話してます。

「勉強させていただきます」は禁句

宮内:今の就職指導はまったく分かっていないなと思っています。大学がブランド取りの場所になっているのです。さらに、就職もブランド取りだと思っている。必死に就職活動をして、やっとぶら下がれる一番いいブランドの会社へ入るわけでしょう。

河合:はい。

宮内:それが悲劇なんです。無理矢理背伸びして名だたるブランド企業に入ったと喜んでも、ブランドにすがろうと無理して入ったために、その後が大変になってしまいます。本当に、何を考えているのかと。就職は何より、自分が歓迎され、求められているところに行くべきです。もしも5社が歓迎してくれるとしたら、その中の一番見込みのありそうなところを選ぶことが、僕は就職だと思います。そこが一番力を発揮できるわけです。ブランドだけにぶら下がっていたら、一生うだつが上がらないんです。

河合:あ、あの、こんな言い方をすると失礼ですけど、オリックスに入ってくる新入社員の方たちも、オリックスというブランドに魅せられている面があるんじゃ……。

宮内:今や学生さんからそういう企業として見られてしまってはいますね。「オリックスという立派な会社に入れていただいてありがとうございます。ここで一生懸命勉強させていただきます」と言われると、…もう、本当にがっかりです。

(次回は社員教育について……)

『他人をバカにしたがる男たち』
なんとおかげさまで五刷出来!あれよあれよの3万部! ジワジワ話題の「ジジイの壁」

他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)

《大人の必読書(Citrus)》石原壮一郎氏

 多くのおっさんはなぜ、困ったジジイになってしまうのか。繰り返し出てくるキーワードは「SOC=Sense Of Coherence」。まだ間に合います。本書を熟読して、少しでもちゃんとしたおっさんを目指しましょう。

 リアルだけでなくSNS上でも、タチの悪い「ジジイ」たちが今日も大暴れ。ネットは「ジジイの見本市」。たくさんの反面教師がいて、たくさんの他山の石がころがっています。

 本書を読むことで、SNSで見かける「ジジイ」を興味深く観察できるようになったり、不愉快な「ジジイ」のリアクションをスルーできるようになったりという副次的な効能もあるかも。もちろん、眉をひそめられる「ジジイ」にならないために、自分の振る舞いを省みる上でも大いに役に立ちます。

悩める40代~50代のためのメルマガ「デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』」(毎週水曜日配信・月額500円初月無料!)を創刊しました!どんな質問でも絶対に回答するQ&A、健康社会学のSOC概念など、知と恥の情報満載です。