「とにかくブラックだからね。仕方がないんです」

 まずは状況説明から。

 この交流会は、私の知人が旗振り役になって開いたもので、彼の知り合いの社長さん6名が集まった。大企業から中小企業まで、職種もさまざま。年齢もさまざま。考え方もさまざまだった。

 社長同士の面識はなく、取引関係もない。共通の知人を介した三角関係だったためか、最初から和やかな空気で始まり、食事をいただくうちにアレやコレやとかなりディープな「ここでしか言えない本音」がポロリと出た。

 私のこのコラムもみなさんご存知で、ネタになることも重々承知だ。ただ本音はあくまでもオフレコ故の本音なので、これ以上の会社や個人の情報は書きませんので、どうかご容赦くださいませ。

「どこの会社もメンタルやられちゃってる社員が、多いんですねぇ。うちの会社でも、前日まで元気に働いていた社員が、突然来なくなったりして散々ですわ。チームで現場に乗り込んで、そこで仕事を仕上げていくので1人欠けると大変なんです。ストレスマネジメント能力っていうのも、個人差ありますよね?」

「そうですね。でも、ストレスの雨をしのぐ傘を増やしていくことで、誰でもある程度は高められます」(河合)

「うちの社員にも傘の増やし方を教えて欲しいなぁ。とにかくね、うちの会社はブラックなんです」

「……ぶ、ブラックって。どういうことですか?」(河合)

「長時間労働ですわ。人手が足りない。募集はしてるんですけど、なかなか集まらない。だけどおかげさまで仕事は順調に次々来るから、残業しないと終わらないんです。

 あっ、心配しないでください。ちゃんと残業代は払ってます。ですから社員の給料は結構いいんです。問題は、長時間労働だけです。

 ただね、今、世の中の流れは長時間労働の悪い側面ばかりにフォーカスしてますけど、残業手当が増えて喜んでる社員も多い。残業って、社員にとっても悪いことばかりじゃないと思いますよ。

 会社だけ儲かって社員に分配しないなら、そりゃあ問題です。でも、みんな家のローンだの、子どもの学費だのカネがかかるから、カネもらって困るヤツはいません」

「あの、お言葉ですが、確かに賃金が上がるのはうれしいことかもしれません。でも、長時間労働はお金とセットで考えるものではなく、健康とセットで考えないと。

 長時間労働で心身が壊れてしまっては、元も子もないです。事実、御社にはウツになったり、メンタルに問題をかかえる社員が、結構いらっしゃるんですよね?」(河合)

「ええ、いますね。なので、彼らのストレスマネジメント能力を高くさせてあげたいなぁと。みんな余裕がないんです。上司も部下たちに目を配る余裕がない。だから、ちょっと元気ないヤツを励ましたり、ケアしたり、話を聞いてあげたりができない。

 とにかくブラックだからね。仕方がないんですけどね」

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