今回は「○○を追いつめる高揚感」について考えてみる。

 先週、NHKの記者だった女性(31歳)が4年前の2013年7月に、心不全で亡くなっていたことがわかった。原因は長時間労働による過労死。亡くなった翌年、労災認定された。

 亡くなる直前の1カ月間の時間外労働は159時間37分。5月下旬からの1カ月間も146時間57分。また、亡くなる直前には都議選と参院選の取材で、「深夜に及ぶ業務や十分な休日の確保もできない状況」で、「相当の疲労の蓄積、恒常的な睡眠不足の状態であったことが推測」されたそうだ(渋谷労働基準監督署による)。

 亡くなったのは参院選の投開票から3日後の7月24日。同月末に横浜放送局への異動が決まっていたことから、前日の23日は勤務終了後に送別会に参加。翌24日未明に都内の自宅に帰宅したあと倒れたとみられる。

 「忙しいしストレスもたまるし、1日に1回は仕事を辞めたいと思うんだけど踏ん張りどころだね」――。

 泣き言や弱音をめったに吐かない彼女から、両親に心配なメールが届いたのはひと月前。

 「明るくいつも笑顔。ヒマワリの花のような子。亡くなった時、携帯を握ったままだったのは、何かメールしようとしていたのかもしれない」

 朝日新聞の取材に母親は悔しさを滲ませた。

 いったい何人の命を奪えば、この国の人たちは「過労死・過労自殺」と正面から向き合い、この“異常”を異常なこととして受け止めるのか。

ご両親は最初は公表を望まなかった

 そもそも今回、3年以上前のことが報じられた理由も、NHK側の対応のずさんさにある。

 昨年までは命日にNHK幹部が弔問に訪れていたが、今年は連絡はなし。電通の過労自殺事件はNHKはかなりの時間を使い報じてきたが、NHK内部で起きたことは公表しなかった。
 そればかりか局内にも知らされていなかった。

 ご家族は当初、公表を望んでいなかった。NHKの幹部からお嬢さんの死後、長時間労働対策を進めていると説明されてきたそうだ。

 しかし、お嬢さんの元同僚から、今夏から対策は始まったものの、そのきっかけとなったのがお嬢さんの過労死にあることは職員に周知されていないと知らされた。

 そこで「娘の死を風化させたくない」との思いで、命日の7月以降、局内でお嬢さんの死の“事実”の周知、自発的な対外公表を要望。そして、やっと。ホントにやっと4日の夜「ニュースウオッチ9」で、マイクを握る彼女の写真が画面に映し出された。

 番組では、

 「二度と同じようなことを起こさないという決意を組織内で共有し、改革の徹底を図るため、全職員に伝え、外部に公表することが必要だと判断した」

 と説明、

 「このことをきっかけに記者の勤務制度を見直すなど働き方改革に取り組んでおり、職員の健康確保の徹底をさらに進めて参ります」

 とコメントした。

……先々週、私は「現電通社長の山本敏博氏が公開の法廷の場に立った」という事実が、日本中のトップの意識改革に繋がればいいと、心から願うばかりだ」と書いた(こちら)。

 そして、「法人の代表として、社長が裁判所に顔を見せるまでの26年間(1991年の過労自殺事件から)、トップにいた方たちは、この死をどう考えていたのか」と。

 この言葉をまんまNHKのトップに聞きたい。