そもそも「頑張った」とは何を意味するのか? 
 頑張りとは「数字」「カネ」に絶対的に反映されるものなのか? 

 いかなる制度も、「ナニ」に価値を置くかでプラスにもマイナスにもなる。

 故岡野副社長は、
 「社員教育は時間の無駄、その時間があれば営業させろ、現場で経験を積む中で教育はできる」が持論で、銀行員としての基礎知識やモラルが熟成される時間さえムダと考えていたという。

 第三者委員会が故岡野副社長を、「一連の問題の背景となる構図を作り上げた主たる責任者と断定」した上で、
 「麻生氏は情報の断絶が生じているスルガ銀行の中で、現場に明確な形で介入しない経営陣の下、ひたすら営業に邁進した立場というべきである。したがって、「本件の構図」を作った張本人ではないし、その構図について責任があるとするのは酷であろう(それは経営トップの責任である)」と論じている。

 だが、私は「創業家の威光」を背に不可能な数字目標を掲げ、自分に従わない人を切り捨て、何でもありの王国を作り上げた麻生氏には、人道的な責任が多いにあると考えている。

 仮に麻生氏が暴走したのが、上からのパワハラによるものだったとしても、だ。

 と同時に、麻生氏に成り下がるリスクは誰にでもあるように思う。

絶対的権力による無力化

 つまり、これは創業家という絶対的権力による無力化であり、無力化による思考停止だ。

 麻生氏は、「いつか雲の上の住民になれる」と期待し、「初の営業からの取締役」を夢みていたのだろうか。
 あるいは「しょせん、営業。私たちとは別」と上流階級である経営陣たちに見下される不満を部下たちにぶつけ、社外の人たちから「スルガ銀行の絶対的権力者」と祭り上げられることに酔いしれていたのか。

 無論、報告書に答えは記されていない。

 しかし、おそらくそういった人の心の複雑さと環境の大切さを、しみじみと何度も妄想することこそが、人を暴走させないために欠かせないことなのかもしれない。

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この記事はシリーズ「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。