「部下の方も『成功体験をさせてもらった。自信になった』って言ってましたよ」(河合)

 「そう。そんなこと言ってたの? うれしいね。ただね、会社は部下を育てる上司も、チーム業績を上げた上司も評価しない。600万の黒字より、5億の赤字の方が評価されるんです」

 「ええっ? わけが分かりません。5億も赤字出したら、普通は責任を取らせるのでは?」(河合)

 「そうは必ずしもならないのが、組織なんですよ。つまり、上の方針や考えていることを上手く汲み取って動いた人が評価されるんです。

 うちの会社の場合、IT系に事業展開したかったわけです。そこでの赤字はお咎めナシ。

 会社っていうのは、『どこそこの会社では○○が成功した』とか、『どこそこの○○は売れてるらしい』ってのに弱い。結果的に赤字になったとしても、上がやりたいと思ったことに踏み切った人は赤字を出しても、『ナイスチャレンジ!』って評価されるんです」

やっぱり、無責任な人ほど出世する?

 「でも、Aさんはちゃんと数字で結果を出したわけですよね? それは評価しないんですか?」(河合)

 「僕への評価はないですね。ただ『この事業は、まだ行けるな』という面では評価したんでしょう。瀕死だったうちのチームも格上げされたしね。「課」が「部」になりましたよ」

 「そこの“部長”にAさんはならなかったんですか?」(河合)

 「次長になりましたよ。それまで持たされていた裁量権を、すべて奪われてね(苦笑)。それで半年後に、関連会社に行かされることになりました。それが今の会社です。

 まぁ、もともと10年前に瀕死の事業部に異動になった時点で、ラインから外れたわけだし、一度外れた人がラインに戻ることはないです。

 ホントに組織っていうのはね、無責任な人ほど出世する。部下を育てろ、結果を出せ、と言われるけど、部下は育てるモノのではなく“上手く使うコマ“で、結果とは“上に従順に動く”ってこと。
 そういうことが出来る人が、上に認められるんです」

 ……以上がAさんとのやりとりです。

 なんとなく感じていたことだし、実際に見てきたことではあるけれど。当事者の「ナマの言葉」になると……なんとも。