その結果、

  • 自己決定は健康や人間関係に次いで幸福感に影響を与えていた
  • 自己決定は所得と比較すると、約1.4倍強い影響があった
  • 学歴は統計的に有意な結果が出なかった

 などがわかった。

 研究チームは結果について、
「自己決定で進路を決定した人は、自らの判断で努力し、目的を達成する可能性が高くなる。また、成果に対しても責任と誇りを持ちやすくなる。こういった達成感や自尊心が、幸福感を高めることにつながっていると考えられる」
とコメントしている。

「進学と就職の決定」と人生の幸福感

 自己決定。すなわち「選択の自由」が、職務満足感や人生の満足度を高め、寿命にまで影響することはこれまで多くの調査で示されてきたので、先の調査結果は個人的にはそんなに驚くべき結果ではなかった。ただ、ひとつだけ実に興味深いことがある。

 この調査で用いられた「自己決定」の質問項目が、
「中学から高校への進学先は誰が決めましたか?」
「高校から大学への進学先は誰が決めましたか?」
「初めての就職先は自分で決めましたか?あなたに最もあてはまるものをお答えください。」
という極めてシンプルな3つの質問に対し、

  • 全く希望ではなかったが周囲のすすめで決めた
  • あまり希望ではなかったが周囲のすすめで決めた
  • どちらとも言えない
  • ある程度自分の希望で決めた
  • 自分の希望で決めた

という回答で、構成されていたことだ。

 つまり、「選択の自由」は、「自律性」や「コントロール感」「裁量権」と極めて近い概念なのだが、これらを測るには抽象的かつ感覚を問う質問がされてきた。
 「私は自分の行動は自分で決める」とか、「何かを判断するとき社会的な評価よりも自分の価値を優先する」といった具合だ。

 ところが神戸大の研究チームは「進学と就職の決定」だけで測り、それがその後の人生の幸福感に強い影響力をもつことを明らかにしたのである。

 これって、すごい。というか、こういう結果こそ、新卒一括採用議論で参考にすべきだ。