就活の統一ルールが変わるか(写真:PIXTA)

 前回は夏休みのため、連載をお休みさせていただきました。
 「ひとり働き方改革」です。
 久しぶりに「脳内休眠状態」を満喫したので、またしばらくがんばれそうです。これより“通常営業”復活ですので、お付き合いのほどをよろしくお願いいたします。

 さて、今回は「自由と責任」について考えてみようと思う。
 経団連の中西宏明会長が「個人の考え方」とした上で、就活ルール廃止発言をした9月3日。

 私は久しぶりにワクワクし、心から拍手喝采した。

 「単一文化の社会であるということ自体が、そろそろ弱点になってきたというふうに思っているので、もっと多様性のある社会につくり変えていった方がよい」(by 中西会長)→「そのとおりだ! さすがだ!」(by 河合)

 「採用日程に関し、経団連が采配すること自体に極めて違和感がある。経団連の意見として、こうしますとか、しませんとかは言わない」(by 中西会長)→「そーだそーだ!!! よくぞ言ってくれた!」(by 河合)

 といった具合に心底共感して感動したのだ。

 中西さんの経団連会長就任が決まったときから、「中西さんだったら変えてくれる!」と期待していたのだが、すったもんだ続きの就活一括採用にメスを切り込むとは。「お見事!」としか言いようがない。

 誤解のないように断っておくが、私は中西さんと個人的なお付き合いもなければ、面識もない。

 「だったら、なぜ変えてくれるなんて期待したんだ?」と不思議に思われるかもしれないけど、私のフィールドワークのインタビューに協力してくれた、「日立の社員」たちが、そう確信させてくれたのだ。

 かれこれ10年以上、700人近くの現場の声を聞いていると、それが「経営者」を映し出す鏡であることがわかる。

 キャリアに悩み、現状に抗い、将来に漠然とした不安を抱えながらも、「あ、この人の会社、いい会社なんだな」と思わせる空気感を、彼らが紡ぐ言葉に垣間見ることができるのである。

 そういった会社のひとつが「日立」だった。

 協力してくれた「日立の社員」の人たちは、所属している部署も、やっていることも、年齢も学歴も違ったけど、みな「気」が良かった。講演会に呼んでいただいたときも同様の「気」を感じた。

 であるからして、日立のトップである中西さんはきっと「働く人たちが元気になれる経団連にしてくれるに違いない」と期待したのである。

 ところが、ご存知のとおり「中西発言」の波紋はいっせいに広がり、賛成の意思を示したのは経済同友会の小林喜光代表幹事のみ。
 中西会長自身も発言2日後の9月5日、「採用の問題や日本の雇用制度、大学側の問題も相当ある非常に幅の広い課題なので、よく(政府・大学と)一緒に検討していこうという呼びかけだ」(「日本経済新聞」9月6日付朝刊)と、「各方面とそういう話をして誰も反対していない」と言い切っていた2日前の勢いがいっきにトーンダウンしてしまったのだ。