甘利氏が出ているではないか!

では、最初の“人”のお話から。はい、そうです。名演技だった“甘利大臣”について、です。
いやはや何とも驚きました。豪華キャストとは聞いていたけど、甘利明氏が出ているとは知らなかった!銀幕の甘利氏も“名演技”でしたよ!
って、ウソです。ホンモノが出ていたわけではありません。
内閣特命担当大臣役の中村育二さんが、金銭授受疑惑で辞任した元経済再生相の甘利明氏にあまりにそっくりすぎて……。家に帰って「シン・ゴジラ 甘利」でググるまで、ことの真偽が気になって仕方がなかったのである。
初対面の人が「この人誰かに似てるな~」って気になり始めると、話の内容がちっとも耳に入らないという経験はよくある話だが、今回はまさしくそれ。
要するに、最初の官邸のシーンの記憶は、“甘利大臣”の顔しかない。
その結果、
・会議というものは、所詮、結論ありきのものであること。
・偉い人たちは、前例のないことは絶対に認めないということ。
・偉い人たちは、働かない、考えない、動かないってこと。
・偉い人たちは、互いに守りあっているということ。
…といったイメージしか残らず、偉い人たちの“無能”ぶりが印象付けられた。おそらく、これは庵野秀明監督の狙いだと、私は理解している。
だって、中村育二さんの所属事務所のページに掲載されている写真はこちら。
あまり似てない……。
つまり、早口で会議の内容がわからないのだの、テロップが多くて読み切れないだの批判があるが、それらは「わからなくていい」。“甘利大臣”に釘付けになっていればそれでいいのだ。
これらはすべて庵野監督の作戦で、当官邸の会議のシーンのテロップで「中略」もあったことから考えると、「偉い人たち」の生態こそが、監督が伝えたかったメッセージ。“ピーターの法則”がどこの企業にも存在するように、官邸にも存在する。とにもかくにも、“甘利”さん効果がすごすぎて、最初から画面に釘付けになった。
感激した、片桐はいりさんのおにぎり

さて、次なる“人”は、わずか30秒程度の出演にも関わらず、圧倒的な存在感を示していた片桐はいりさんだ。
ゴジラが暴走し東京が壊滅したあと、残ったメンバーで巨災対(巨大不明生物災害対策本部)を再結成。新たなゴジラ撃退作戦のため、連日連夜徹夜で働き続けるメンバーに、片桐さんがおにぎりを振る舞った。
明確なクレジットは出なかったが(私の記憶では)、おそらく役柄は官邸内の食堂に長年勤める、みんなの“お母さん”的存在といったところだろうか。
この119分の上演時間の中で、実にすばらしい、もっとも感激した30秒だった!それをいっそう引き立てたのが、次のやりとりである。
「家族がいる人もいるのに危険な場所にとどまって、寝る暇も惜しんで頑張ってくれています」
「この国はまだまだやれる」
(こんな文言だったと記憶している…)
おにぎりの差し入れにより一拍入れるような穏やかな空気が流れた後、、矢口(内閣官房副長官)と志村(内閣官房副長官秘書官)が、力を得て先のように語ったのだ。
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