鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)
1958年愛媛県生まれ。早稲田大学卒。81年に劇団「第三舞台」を結成。以降、作・演出を手掛け、紀伊國屋演劇賞、ゴールデンアロー賞、岸田國士戯曲賞を受賞。現在は「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」での作・演出を中心としている。2010年には虚構の劇団旗揚げ三部作戯曲集「グローブ・ジャングル」で第61回読売文学賞戯曲・シナリオ賞を受賞。海外公演も行っている。17年に著書『不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか』を発表

鴻上:よくわからないのです。「ご先祖だ」と言うので、「ご先祖にお祈りしているのですか」と尋ねると、「そんなにしていない」と言うし、「お守りを持っているのですか」と聞いても「持っているけれど、肌身離さず持っているわけではない」と言うのです。結局、空を飛ぶことが大好きだったんだと、僕は考えました。

佐々木さんから母の話は出てこなかった

河合:10年ほど前、SOCが高い男性経営者たちにインタビューをしたことがあります。そのとき聞かなくても、必ず母親の話が出ました。

鴻上:佐々木さんの場合、出てこないですね。

河合:なぜでしょうか。不思議な気がするのですが。

鴻上:一つは兄弟が多く、一人だけ溺愛されてたわけでなかったからだと思います。

河合:私が話を聞いた経営者たちは兄弟が多くても「かあちゃん」という言葉がよく出ていました。佐々木さんの場合、父親のことは出てくるのに、なぜ母親が出てこないのか、が気になります。

鴻上:「恥ずかしいから」と見栄を張ったかもしれませんが、面白い視点だと思います。聞けばよかったかな。佐々木さんは自分の体験を率先しては「話さなかった人」なので、言わないままにしたのかもしれません。

 河合さんが挙げられたSOCは面白い概念ですが、日本語として理解しにくいですね。

河合:わかりやすい言葉にできればもっと広められるので、それは私にとってテーマになっています。「つじつまを合わせる感覚」という表現があるのですが、それだと伝わらない面があり、SOCのままにしています。

鴻上:河合さんがジジイ文化を意識するのは、帰国子女として外側から日本を見た経験が関係していると思います。群れるのが苦手という精神文化があるのではないでしょうか。

河合:自分ではストレートに言っているつもりはないのですが、「直球だ」とよく言われます。