河合:「そんなことしていいんですか」は、私もこれまでたびたび学生から聞かされてきました。

鴻上:若手が小さな発表会を開くというので、僕は「初めてだから音響も照明も自分たちでやってみよう」と言ったことがあります。ただし、劇場には音響と照明のブースがあり、窓がついていました。舞台からの声が聞こえないため、担当者はできるだけ広く窓を開けたかったのですが、うまくいかず困っていました。そこで僕は「窓自体をはずしてしまええばいい」と言って、実際に窓をはずしました。若手は驚いた顔で「そんなことしていいんですか」というわけです。僕は若手に言いました。「この劇場は自分たちが借りた以上、自分がルールを作ればいい」。

若者は戦うための牙を完全に抜かれている

 ムダで無意味な校則で育ってきた人は、枠組み自体を疑う発想がないのです。「すごくやばい」と思います。そして、企業はこうした教育を受けて育った人を社員として受け入れるわけです。いつの時代もジジイを倒したのは若者ですが、これでは若者は戦うための牙を完全に抜かれている気がします。

 僕は上が学生運動の世代で、そうした人から例えば早稲田大学では「学生運動のとき、大隈講堂の中でたき火をして焼き芋を焼いた」といった話を聞いてきました。教授が学内に機動隊を入れるかどうか議論した末に「入れるしかない」と機動隊を入れると、大隈講堂では皆が焼き芋を食べて帰ったあとだった、と。そうしたことを知っているので、枠組み全体を疑うのは当たり前だと思っています。

 伝説を聞いた世代だから「校則が間違っている」「辞書が間違っている」と普通に言えますが、下の世代は「学校の名誉のため」といったわけのわからない言葉でさまざまなことを押し付けられています。そんな牙を抜かれた若者がジジイ文化に取り込まれたり負けたりするのはある意味、しょうがないとも思います。

河合:私はジジイたちが一掃され新しい世代になればそんな状況も変わるのではないか、とあるときまで思っていました。しかし、最近になって、「そうではない。むしろ逆だ」と考えるようになります。若者はジジイに何か言われると疑問を持つことなく、流されていくだけになっています。ジジイの壁はどんどん厚くなっています。

 私はストレスを雨に例えて話します。人生の雨であるストレスは生きてればずっとついてきます。でもそのとき、傘があれば濡れずに済みます。SOCとはストレスを乗り越える力でもあります。傘は自分の心の中にあれば、周りにもいろいろ傘があります。自分がどうしようもなくなったとき、傘を貸してくださいと言えるかどうかだと思います。

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