といっても、その価値観を自分が持っていることに誰一人気づいていないし、子どもの教育に依存してることにも気がつかない。

 それでも、「肌」で痛いほど感じているから暴走する。

 彼らは、人の価値観は周りよりもたくさん稼ぐことが大切であり、そういう人だけが価値ある人間として振るまえる権利を得られると、本能的に感じているのである。

新中間階級を「人間の最低条件」ととらえる

 社会的評価の高い集団の一員になることは、「他人に評価されたい」という、人間の基本的な欲求(承認の欲求)を満たす手段となる。社会的評価は個人の属性なので、それ自体は何ら非難されるものでなければ、その属性に入りたいと望むことも、その一員として自信を持つのも全く問題はない。

 しかしながら、大企業の会社員、勝ち組の起業家、社会的地位の高い職業についている人たちの中には、新中間階級にいることを「人間の最低条件」のごとく考えている人たちがいる。アンダークラスを「自分とは別。あっち側の人」と区別する。

 そして、彼らは自己の利益を最大限守るために、アンダークラスに属することになった人に対して、二度と自分たちの集団にはい上がってこられないような言動を無意識にするのである。

 当人たちは「そんなことはない」と否定するかもしれない。だが、人は「今あるものを失うかもしれない」と恐怖を感じた時、他者を蹴落とすこともいとわない。それはまさしく、人間の心の奥に潜む、闇の感情が理性を超えて噴出した瞬間でもある。

 勝ち組の枠内にいる人たちの無意識が、格差を助⻑しているのである。