奇しくも石巻に行った日、いわゆる「買い物弱者(全国で700万人超)」のお年寄りに向けて移動販売や宅配を行う全国の事業者の40%余りが赤字経営で、事業を断念する業者も相次いでいるとの報道があった(こちら)。

 事業断念の理由は「補助金の打ち切り」である。

 総務省の調査の対象となった滋賀県長浜市余呉町は、人口3000人余りで高齢化率は35%。人口減少が進み店舗が次々と閉店する中、地元の一般財団法人が4年前から買い物弱者などに向けた移動販売を実施していた。

 経産省から開業資金250万円余りの補助金を受給しスタートしたものの、その後も人口流出に歯止めがかからず顧客が減少。運営経費に充てる補助金もほとんど得られず、毎年数十万円の赤字が続いたそうだ。

 売り上げの改善も見込めないことから財団は昨年度で解散。今年度からは、自治会などが中心となったまちづくり団体が市の支援を受けて事業を引き継いだが、厳しい状況が続いている。

 事業を引き継いだ団体の代表者は

 「この地域を終の住み家として選び、暮らしている高齢者を見捨てることはできない。国や自治体は住民の生活を守る支援策を一緒に考えてほしい」

 と話しているという。

 東日本大震災は、時計の針を一気に進めたものだった。
 今、東北で起きていることは数年後の日本の姿であり、この報道からも“時計の針”は刻々と進んでいることを伺い知ることができる。

 厚労省のHPには

 「2025年(平成37年)を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進しています」

 との文言がある(こちら)。

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 この図を見ると「とてもすばらしい」モノに確かにみえる。
 しかしながら、その一方で「これって絵空事じゃん」と、皮肉のひとつも言いたくなる。

是非お考えを聞かせてください

 Reraを利用するには「公共交通の利用が難しく、送迎してもらえる家族などがおらず、タクシー利用が経済的に困難な住民」という条件を設けているが、上記の包括システムに、このような条件の人たちは入っているのだろうか。

 さらに、Reraの平日の利用者数は70名前後、1台あたりの1日平均走行距離は100キロ弱。このような働き手をボランティアではなく、きちんと雇用し、賃金を支払える団体にするための資金はどうするのだろうか。

 そして、何よりもここに描かれていない大切なことが、Reraが教えてくれた「会話」だ。

 「会話」という人間社会の基礎中の基礎を、コミュニティの最小単位である「会話」を維持するための方策を最優先すべきではないかと、私は思う。
 そして、それを支えている組織が「会社」として存続していくには、どうしたらいいのか?

 「社会」と「会社」が同義だったという前提に立てば、社会への投資もリターンを生み出す。社会学の用語でいえば、「ソーシャル・キャピタル」。

 人と人の「つながり」に投資することが、「自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができる」豊かな社会の土台になると、私は確信している。

 会社は、社会のためにあるのだと思いますか、それとも思いませんか?
 社会のためにある会社が存続するには、我々は何をどう考えるべきなのでしょうか。
 是非とも、みなさんの考えを教えてください。

 ちなみにReraがこれまで送迎した人数は、12万人あまり。6年間の送迎車両の概算総走行キロ数は、約138万キロ。地球34周半に相当するそうだ。

撮影/GARDEN、Reraのスタッフと。
撮影/GARDEN、Reraのスタッフと。

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