男性はこう話していたけど、Reraのスタッフは一方的にサポートするのではなく、「自分の足で、自分の手で、自分の力で自立する」ことも大切にしていたのである。

 いい意味での距離感が、利用者のためにもなっていることは車椅子の女性の語りからもわかるとおりだ。

 「ひとりでできるのがうれしい!」――。

 彼女が語っていたとおり、“依存の先にある自立”は自信につながっていく。この自信もまた、生きる力を引き出していくのだ。

 だが、そんなReraも震災から月日が経ち、大きな問題に直面していた。代表の村島さんは、次のように話す。

 「そもそも震災後に移動支援を始めたとき、復興が進めばサービスは終わりだと考えていました。
 ところが、お年寄りたちは5、6年過ごした仮設から抽選で決められた復興住宅への転居でバラバラになってしまいました。その影響は予想していた以上に深刻でした。病気や障害のある人、独り暮らしのお年寄りなど生きづらさを抱えた人たちの環境は、震災直後より悪化してしまったんです。認知症が悪化したり、孤独死の問題も出てきてしまったり……。

 それで移動支援だけではなく、介助付きの買い物やお出かけなどの独自イベントを開催し、新たなコミュニティの場としての役割も担っていこうと、活動の幅を広げることを決意しました」

 「しかし、資金源の大半を占める県の補助金や、民間助成金も1年限りの震災復興のためのもので、毎年ゼロから申請をし直し、もらえたらラッキー、という綱渡りです。国の定めた集中復興期間が終わるため、復興支援関係の補助金が終了してしまう恐れもあります。現在は寄付をしてくださる方も増え、大切な活動資金となっていますが……、やはり不安定と言わざるをえません」

 「それにこれだけ長く活動していると、組織自体が息切れしてしまうんです。最初の頃は、勢いと使命感だけでがむしゃらに走ってきました。でも、だんだんと色々なところにひずみが出て、何のために自分が活動しているのか? それが見えなくなってきてしまったんです。

 そこで一度、原点に戻ってみよう、と。財政面でも組織としても、今後も必要とされる活動を続けるには、原点であるボランティアベースに戻るしかない。そういう結論に至りました」

運営資金不足の壁

 その大きな決断で、組織を去るスタッフもいたそうだ。

 何が正しくて、何が間違っているのかはわからない。
 ただ、確かなのは、明らかに運営資金が不足しているという厳しい現実である。

 2017年度の活動計画書で計上されている必要な予算は、およそ3000万円。2件の補助事業に採用され、合わせて1200万円の補助金が得られたものの、現在決定している収入はこれだけだ。

 利用者からは送迎にかかる実費分以下の金額はもらっているが、総額で年間500万円あまり。前年度までの繰越金などで、今年活動できなくなる心配はないとはいえ、年間1000万円ほどの資金不足が予想されている。

 活動が広がったことで、寄付をしてくれる個人の支援者は増えた。サラリーマンが毎月5000円ずつ寄付してくれたり、小さな田舎の商店のお母さんがお米やコーヒーを送ってくれたり……。

 地域の人を豊かにする活動が、働く人やそれを支える人たちの“善意”と“優しさ”頼みになっているのが現状なのだ。

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