「今日はね、産婦人科でがん検診。Reraさんに連れていってもらえるから、ホント助かってるのよ」(実際にはもっと方言があったのですが、再現できず……すみません)
運転手(Reraのスタッフ)の方から「おしゃべり好き」と聞いていたとおり、おばあちゃんは道中ず~っとず~っとたくさん話してくださった。

震災のときご主人が透析をしていたので、大変だったこと。
その後、旦那さんが亡くなってしまったこと。
ご近所には「結婚しない息子ばかりで、おばあちゃんたちは心配で死ぬに死ねない」こと。
海岸に積み上げられたホタテの貝殻は、カキの養殖に使われていること。
Reraさんがホントによくしてくれるから、外出するのが楽しみなこと。
Reraさんの車に乗り合わせた人とおしゃべりするのが、とっても楽しみなこと。
etc、etc…
もうすぐ80歳というおばあちゃんは、次から次へとあれやこれやと教えてくださったのである。
目的地の病院に向かう途中で、もうひとりの女性を乗車させた。Reraでは GPSを利用して稼働中の車(6~9台)の場所を把握しているので、依頼が入ると事務所のスタッフが指示を出し、効率よく送迎を行っている。
高齢者も障害者も乗り合わせておしゃべり
おばあちゃんが「乗り合わせた人とのおしゃべりも楽しい」と言ってたとおり、こんなふうに途中で乗客が増えることは日常茶飯事だ。新たに乗り込んできたのは、車椅子を利用する女性だった。
「震災が起きて、タクシーがなくなってしまって。道路もボコボコで。ちょっとの距離でも車椅子で移動するのが難しくなってしまったんです。
それでReraに乗せてもらうようになったんだけど、車椅子のまま乗れるからすごく助かっています」
こううれしそうに話す彼女は、グループホームで暮らす障害者だ。
彼女は片手しか動かせないので特別仕様の車椅子を使っているのだが、たたみ方をちょっと間違えると故障の原因となる。「車椅子のまま乗れる」というのはラクとか快適といった事以上に、当人にしか知り得ない事情もあることを、恥ずかしながら私は初めて知った。

だが、彼女がReraを利用する理由は、それだけではなかった。
「Reraにお願いすれば、ひとりで外出できるから……。自分で1人でできるって、すごくうれしい。自分にもできるんだって、自信になります!
こないだはReraさんに閖上駅まで連れて行ってもらって、そこから1人で仙台まで行ったの。光のページェントを見に行ったんです!
Reraのスタッフさんはそれを覚えていてくれて、『こないだはだいじょうぶだった?』と声をかけてくれる……。そういうのってうれしいんです。
安心できます。うん、やっぱり覚えてくれてるのって……、うれしいんです。
今日もね、市役所まで乗せてもらうんです。ひとりで市役所に行くんです!」
キラキラした笑顔でそう語る彼女は、少しだけ恥ずかしそうに、たくさんたくさん話してくれたのである。
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