「キャリア意識」を高めろ?私だったら無理

 つまり、「男社会に女性が入る⇒女性が軽視される⇒一部の“スカートをはいたオッサン”だけが権力のある地位に就く⇒女性同士が分断される⇒男性にとっての使い勝手のいい女性が重宝される⇒女性が軽視される⇒女性が増えない」といった、なんだかわけのわからない、でも、女性にはちっともプラスにならない、ドツボにはまってしまうというわけ。

 これを一般の企業で考えると、よりわかりやすい。一般企業の女性に関しては、管理職や役員の女性にばかりが取り上げられるが、いわゆる“ヒラ社員”の中にこそ、働きづらさを感じている人が多い。部署によって男女比が変わるので、「1」の悲劇にはまった女性は、とんでもなくしんどい日々を強いられてしまうのだ。

「毎日、当たり前のように雑用を頼まれる。私には私の本来の業務があるのに、そんなことは関係なし。『アンタたちの奥さんじゃないんだよ!』と、言ってやりたい」
「本業でがんばっても、『女のくせに残業するんだ……』と言われるので、申告できない」
「『会議遅れるって、部長に伝えて』とか、自分がいいづらうことを頼まれる。そういうときだけ、ちゃん付けしたり、娘のように扱う」
「体調が悪くて休んだりすると、『女は簡単に休めていいな~』とイヤミを言われる」

 こんな扱いを受けながらも、一般職や事務職であるが故に、どうすることもできず涙している女性が少なくないのである。

 女性管理職が増えない理由を、「女性のキャリア意識が低い」と批判する人たちは多い。だが、こんな扱いを受けている女性が、「キャリア意識」を高めることなどあるだろうか? 私だったら無理。がんばろう!とか、ふんばろう!とか、必死で耐えてもやがて限界がくる。

女性社員が増えれば比例して女性管理職も増える…のか?

 カンターは、コンサルタントを務めた企業でのフィールドワークから、「女性の特徴」として片づけられていることが、実際には環境が創り出した「環境の特徴」であると主張した。

 つまり、男性でも同じような環境に置かれれば同様の傾向を示すとしたのである。

 なんでもかんでも個人の資質のせいにするのではなく、「環境(=この場合は男女比)」が与える影響が、想像以上に大きいことをわかっていただけたらと思うわけです。政治家の世界の話から、一般企業に話は飛んでしまったけれど、どんな世界でも、環境次第で、ときに多数派は暴力的になる。

 そして、政治の世界では、フランスでそうしたように、権力のあるポジションを6:4にすることから始めると、本当の意味で“新しい風”が期待できると思う。もちろんそのためには、女性政治家たちも自己鍛錬と勇気が必要不可欠。そして、一般の私たちは、もっともっと問題意識を持つことから始める必要があるのかもしれません。

この記事はシリーズ「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。