政治の世界が最も遅れている

「ヤジ騒動があって、あれだけ世間から叩かれたにも関わらず、内部は変わっていません。待機児童や、保育園問題の議論のときに、『子どもは家で育てろ!』と、何食わぬ顔で与党男性議員はヤジっていました。女は家にいることが正しい、外で働く女性は勝手。それに付き合う必要はないってことなんです。昭和の悪しき男尊女卑が、染み付いた世界なんです」

 こう嘆くのは、ある女性議員だ。

 都議会での“セクハラヤジ”騒ぎは記憶に新しいが、都道府県議会で女性議員が占める割合は、地域差があるものの平均値は8.9%(「男女共同参画白書」平成27年版)とかなり低く、心ない言葉を浴びせられているケースが後を絶たない。

 先日、共同通信が行った調査でも、6割の女性議員が「政治活動をする上で、女性軽視に起因する言動を受けて不快な思いをしたことがある」と回答。その相手は、「同じ議会に属する議員」が最も多く、次いで「有権者」だった。

 具体的には、同僚の議員からは「子どもを産んでから質問しろとヤジを受けた」「視察旅行の宿泊先で部屋に押し入られ、キスをされた」、有権者からは、「宴席で胸やお尻を触らせられた」「票をちらつかせ、酌を強要する」などの回答があった(都道府県議員261人対象)。

“オトコ化”した女性議員が女性向け施策を阻む

 これって、いったいつの時代なんだ? 

 本当にまだ、こんな時代遅れの卑劣な行為が行われているのだろうか?

 有権者からもそんな扱いを受けるとは、にわかに信じ難い。そこで、前述の女性議員に聞いてみたところ、「本当ですよ。実際に私も何度もそういった経験をしています」というのだ。

「そもそも未だに女性議員は、同じ期数を重ねても、半人前だと思われます。地元の有権者たちは、女性議員は未熟、男性議員は信頼できる。そう思っているんです。

 男性議員の場合は、議員になる前に議員秘書をやっているケースも多いし、定年制がないことも、関係しているのかもしれませんけど、男性議員たちが議会で昼寝している姿を、支援してる有権者に見せてやりたいです。

 私は結婚していないので、有権者から『いい人紹介するよ』、とか『シングルマザーになるつもりはないよね?』とかしょっちゅう言われます。身体のことを言われたこともあります。

 おそらくみなさんが想像する以上に、政治の世界は男性議員の地位が圧倒的に高いんです。

 でも、問題は男性議員だけにあるわけではありません。本当に残念な話ですが、女性議員の中には、男性議員にゴマスリしたり、飲み会に必ず付いて行って、親しくなることで地位を得ようとする人がいます。そうした女性議員が役職を得ていくので、よりタチが悪くなっています。

 彼女たちは、男性議員が喜ぶことが何かを、本能的にわかっている。意見する女性議員を嫌う傾向も強い。これは本当に問題で、女性議員が女性施策に積極的に取り組まないことも、状況が変わらない理由のひとつです。

 私はこの世界に入るまで、女性とか男性とか関係なく、政治家としてきっちりと政策を進めていく力があればいいと考えていました。

 でも、実際中に入ってみると、女というだけで自分の意見を言う機会も奪われるし、がんばって言うとつぶされます。本当に恐い世界です。それでも打破していかなきゃならないんですけど、壁はとんでもなく厚くて、びくともしません。自分に力がないのが本当に悔しい。どうしたらその力を持てるのか、自問自答する日々が続いています」

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