自分のリソースではどうにもならないことがある

 ……ふ~っ。

 人生には「ストレッサー」はあまねく存在しており、とどのつまり日々の生活も人生もすべてストレッサーででき上がっている。言い換えれば「生きる」ということは、ストレッサーを処理することを連続的に行うことでもある。

 そこで必要なのがリソースとなるわけだが、残念なことにそれは個人の努力だけでどうなるものではない。常に人は環境との相互作用で生きているため、たとえどんなに恵まれた星の元に生まれた人であっても、自分のリソースではどうにもならないことがあるし、リソースがないことで土砂降りの雨にびしょ濡れになる。

 そんな時、リソース(傘)となってくれるような他者がいればなんとかなる。ところが、そのリソースを豊富に持つ体力ある人たちが、「いやいや、それは自己責任。努力が足りない」と傘を貸すことを厭う。

 社会でも、会社という小さな社会でも、「人は環境との相互作用で生きている」ことを忘れてしまっている「持てる人たち」がじわじわと増えているのではあるまいか。

 確かに、自分が必死で頑張って、頑張って、頑張って、権力やカネ、地位など物理的、社会的なリソースを手に入れれば、「俺は頑張った。親が貧困だろうと関係ない」「今の所得に不満なら自分ががんばって自分の価値をあげればいい」……そう思いたくなる気持ちもわかる。

 が、その壁を超えられたのは果たして「自分だけ」の力だったのだろうか?
そっとリソースを提供してくれる環境があったのではないのか?

 自己責任論が世間に蔓延するようになって久しい。
が、最近のそれは、たまたま「持てる者」になった人が、その「たまたま」という偶然を自分のプライドとして、自分のテリトリー外の人を石ころのように扱っている気がして……。

 ああ。これじゃあ、過労死も過労自殺もなくならないなぁと。そんな景色が「リソースの窓」から見えて残念で仕方がないのである。

 そして、何よりも厄介なのは、「自己責任論」を訴える人が、人間的に嫌な人でもなければ、問題のある人でもないってこと。どちらかといえば、優しい普通の人ってことだ。

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