要するにあれだ。政治家が「こんな素晴らしいというか、幸せな国はない」というトンデモ発言は完全にアウトだ。

 が、世間はあまりこの部分には反応しなかった。

 と言うか、ここ最近の「上位層」に位置する人たちは、大学への進学、大企業への就職、正社員か非正規という事にいたるまで、「個人の努力が足りない」「個人の責任」だと考える人が増えた。

正社員と非正規は努力の違い??

 いや、違う。実際には昔からいたけど、堂々と口にする人は少なかった。

 ところが最近は、みんなの前で平気で言う。そうなのだ。ここ数カ月の間に、幾度となくリアル世界でそういう人たちと遭遇し、なんとも言えない薄気味悪さを感じている。

 つい先日も講演会でこんな質問を受けた。

「私は正社員と非正規は賃金格差ではなく、努力の違いだと思っているんです。正社員になるにはそれなりの努力が必要です。河合さんは、個人の努力ということについて、どう評価しているのか教えてください」と。

また、インタビューした男性はこう訴えた。

「残業規制に僕は反対です。それはもっといい仕事をしたい、もっとスキルをあげたいと思うから残業するんです。それってお金をもらう以上、当たり前の気持ちだと思うんです。過労自殺って、本当に長時間労働が原因なんでしょうか?もっと個人的な理由なんじゃないでしょうか?」

さらに、

「働き方改革になんか不満を感じています。多様な働き方って言いますけど、なんでも会社のせいばかりにして、個人の努力の多寡がないがしろにされてませんか?」
と憤る人も……。

 繰り返すがこういった発言は全て「上位層」の人たちによるものである。

●2018年夏のボーナス調査で全産業の平均支給額は前年比4.2%増の83万755円だった(日本経済新聞7月11 日付)――人たち。

●2018年の春季労使交渉で、大手企業の定期昇給とベースアップ(ベア)を合わせた賃上げ率は2.53%で、1998年以来20年ぶりの高水準となった(朝日新聞7月11日付)――人たち。

●厚生労働省が6日発表した5月の毎月勤労統計調査(速報)で、名目賃金を示す労働者1人当たり平均の現金給与総額(パートを含む)が27万5443円と前年同月比で2・1%増えた(朝日新聞7月7日付)――人たち。

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