個人的に感じている各々の問題点についてはこれまでたびたびコラム内で指摘した通りだが、こちらも要点(あるいはキーワード)のみ簡単におさらいしておく。
残業時間の上限規制
過労死が合法化された。インターバル規制は努力義務←罰則規定を設けるべき。
同一労働同一賃金
均等ではなく均衡に基づいているので正社員の賃金が下がる可能性大←差別是正が目的なら「均等」にすべし。
「脱時間給制度の導入」に関しては「裁量労働制の拡大」も含め何回にもわたって書いた。最近では5月22日に「米国のいいなり 自国の働く人を捨てる日本の愚行」で、在日米国商工会議所(ACCJ)の意見書について書いたばかりである。
この意見書は「残業代がバカにならないから、労働時間規制を見直してね!」と言うもので、「海外の投資家を儲けさせるのに、残業代は無駄でしょ!」「残業代払わなきゃ、もっと会社に利益が出て投資家に戻ってくるんだからさ!」「ひとつよろしく!」と、丁寧な文章で書かれていたものである(原文は英語)。
適用を望む企業や従業員が多いから導入するのではない
で、今回。野党との攻防戦で、な、なんと安倍首相自身が、「アメリカさんに言われちゃったし」的発言をして“しまった”のだ。
「(政府の)産業競争力会議で経済人や学識経験者から創設の意見があり、労使の審議に基づき法制化。適用を望む企業や従業員が多いから導入するものではない」(by 安倍首相)
これは6月26日に行われた参院厚生労働委員会で、野党側から「高度プロフェッショナル制度」に質問が集中。それまで政府が高プロの導入理由として説明してきた「働き手のニーズ」を改めて問いただした時の答弁である。
なるほど。「1億総活躍社会だ~」「働き方改革だ~」「人づくり革命だ~」と次々と看板を変えてきたけど、とどのつまり「働く人たちのためじゃなくって、投資家のためなんだよ」と明言してしまったのだ。
「それはミスリードでしょ? どこにも『いやいや、アメリカさんから言われましてね~』なんて言ってないじゃん」
って?
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