「内定をもらう」ために何社も受ける就活から、「もっといい企業から内定をもらう」就活へ変わった今。親御さんたちの気持ちがわからないわけでもないけど、なんだかなぁと思うわけです。

 なんてことを考えながら原稿を書いていたら、「保護者向けの企業見学会」なるものの告知がテレビで流れ、

 「子どもの就職活動のフォローをする際、カギになるポイント」や、「わが子の働く姿をイメージしながら、就業の現場を見学し、事業説明や若手社員の話を聞くことで保護者としての不安が解消できる」とのこと。

 いずれにせよ、「就活」という一大イベントが過剰なまでに拡大し、「本当に学生のためになっているのか?」と。「オトナがオトナのためにやってるイベントでしかないのでは?」などと、暗澹たる気持ちになってしまうのである。

 確かに数年前までは、学生を心理的に追いつめることを目的に圧迫面接する企業があった。だが、メディアが騒ぐほど行っている企業は多くない。さまざまな機関によるアンケートでは「圧迫面接経験あり」とする学生は1~2割だった。そして、今、そんなことをやっている企業はよほどのブラック企業しかないと思う。

 だって、私が知る限り今は数年前と比べものにならないくらい企業側は学生の扱いに気を配っているのである。

圧迫面接の効果は科学的に検証されていない

 そもそも「圧迫面接」とは何か?

 英語では「stress interview」。米国で20年ほど前に流行った面接手法だが、何がしかの確固たる理論で始まったものではない。

 「面接で候補者に冷や汗をかかせれば本性がわかるだろう」

 「候補者を不安にさせればストレス耐性がわかるだろう」

 「面接で追いつめれば臨機応変にたいおうできるかどうかがわかるだろう」

といった思い込みで始まった面接手法である。

 どれひとつとして、その効果は科学的に検証されていない。

 だいたいこんなことで本性などわかるわけもなければ、働く上で必要なストレス耐性でもない。

 臨機応変なんてものは、仕事を理解し、経験を積む上で鍛えられていくのだ。

 長年、付き合っている相手だって、本当の姿などよくわからないわけで。相手の人となりを知るのは、意外とちょっとした無駄話だったり、会社の外で偶然会った時だったりする。

 それに、へなちょこに見えた人ほど、一大事にあたってしぶといことだってある。

 ってことは?
 「圧迫面接対策」で録音するという発想自体が、とてつもなく「トンチンカン」ってこと。

 就活アドバイザーだかなんだか知らないけど、考えれば考えるだけ意味不明だ。

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